米証券取引委員会(SEC)は1月10日に、代表的な暗号資産「ビットコイン」の現物を投資対象とする上場投資信託(ETF)11本の上場を承認しました。ビットコイン先物を活用したETFは既に米国で上場していましたが、ビットコインの現物ETFが上場するのは初めてで、翌11日には米国市場でこれらのETFの取引が開始されました。
ETFの上場を機に市場が活発化する可能性
従来、ビットコインへの投資は、資産管理や取引にかかる規制などの面でハードルが高かったものの、ETFを通じた投資が可能となったことで、こうした投資におけるハードルが下がり、投資家の裾野が拡大するとの期待が高まっています。
また、ビットコインは、発行総量に上限が定められていることなどから、埋蔵量が限られる金になぞらえて「デジタルゴールド」とも呼ばれます。金を投資対象とするETFは、2004年に米国で初めて上場し、それ以降、金の取引が次第に活発化して、価格も大きく上昇した歴史があることから、ビットコインについても、金と同様、ETFの上場を機に取引が活発になる可能性があります。
ETF上場を巡る投資家の期待は関連銘柄にも波及
近年、現物ETFの上場を巡って投資家の期待が高まっていたことなどから、ビットコインの価格は急ピッチで上昇しており、ETFの上場が承認された1月10日時点の過去1年間の価格騰落率(米ドルベース)は、+263%となりました。
また、こうした期待は暗号資産に関連するビジネスを行なう企業の株価にも大きな影響を及ぼしています。例えば、暗号資産のマイニング(採掘)を行なうマラソン・デジタル・ホールディングス(米)とライオット・プラットフォームズ(米)の株価は、過去1年間でそれぞれ+446%、+276%と大きく上昇しました。そのほか、暗号資産取引所の運営を行なうコインベース・グローバル(米)は、今回上場したETFにおけるカストディ(資産の管理・保管)業務をほぼ独占しており、同期間の株価騰落率は+350%となりました。
足元では、ETFが上場したことを受け、個人投資家のみならず、年金基金など機関投資家の資金がビットコイン市場に流入すると見込まれています。また、ビットコイン以外の暗号資産ETFの上場承認に対する期待も高まっています。今後、暗号資産市場が大きく拡大すれば、取引コストの低下などに伴ない、暗号資産を活用したビジネスの拡大やイノベーション創出の可能性が拡がることなどもあり、引き続き、暗号資産分野には投資家からの注目が集まると考えられます。
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