世界の半導体市場は、2022年後半以降、コロナ禍でのテレワーク普及や巣ごもり消費による電子製品特需の反動などから軟調に推移しました。しかし、足元では、2023年11月の世界の半導体売上高が1年2ヵ月ぶりに前年同月比でプラスを記録するなど、明るい材料がみられます。

そこで本稿では、世界の半導体市場と、米国に上場する半導体関連株式で構成されるSOX指数について、短中期的・長期的、双方の視点から今後を展望してみます。

シリコンサイクル好転はSOX指数堅調を裏付け
短中期的視点でみると、世界の半導体売上高の伸び率(前年同月比)は、3~4年周期で好・不調が入れ替わる傾向があります(左下グラフ)。これは、一般にシリコンサイクルと呼ばれており、技術革新の速い半導体産業では設備投資のタイミングや在庫管理が難しく、しばしば供給過多や需要不足が起きることが原因とされています。

このシリコンサイクルに対し、SOX指数の伸び率(前年同月比)は、先行性を伴ないながら同様のサイクルを描いており、直近のサイクルでは、2023年の前半から、半導体市場の回復期待を織り込む動きが進んでいたことが読み取れます。

そのため、世界の半導体売上高の改善は、期待先行によるSOX指数上昇を実体面で裏付けるものとみられ、過去のシリコンサイクルの傾向に照らせば、半導体市場とSOX指数ともに、しばらく堅調な推移が続くと期待されます。

スーパーサイクルによる長期的な上昇に期待
長期的視点でみると、半導体市場は現在、需要が増加基調を辿るスーパーサイクルにあるとみられます。

なぜならば、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)などが産業や社会を大きく変える中、高速処理が可能な演算装置や各種センサーといった半導体への需要が増えているためです。また、データセンター向けのメモリ(記憶装置)に加え、脱炭素の流れからEV(電気自動車)や省エネ化に不可欠なパワー半導体(電力効率向上に寄与)への需要拡大も予想されています。

こうした背景から、複数の民間機関が世界の半導体売上高は2030年には1兆米ドルに達すると予測しており(右下グラフ【A】)、2020-30年の10年間の同売上高の増加率は年率+8.7%と、2000-20年の同+3.9%から加速度的なペースでの成長となる見込みです。これは、シリコンサイクルが今後、低迷に向かう場合でも、調整幅が従前より浅くなる可能性を示唆しています。

他方、SOX指数に目を向けると、同指数のEPS(1株当たり利益)は世界の半導体売上高の動きに概ね沿った拡大が続いています(右下グラフ【B】)。

半導体株はシリコンサイクルや株式市場の動向に影響される点には留意が必要ではあるものの、上述のスーパーサイクルを背景に半導体株のEPSがさらに拡大すれば、SOX指数の長期的な上昇が期待されます。

【図表】[左図]シリコンサイクルとSOX指数の伸び率推移(2008年1月~2023年12月、月次)、[右図]世界の半導体売上高とSOX指数のEPS推移(1995年~2030年、年次)
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  • 上記は過去のもの及び予想であり、将来を約束するものではありません。