1月の金融市場では、米国で堅調な経済指標が発表されたことや、FRB(連邦準備制度理事会)高官が相次いで利下げの議論は時期尚早との発言を行なったことから、過度な利下げ観測が後退しました。一方で、米経済の軟着陸への期待が高まったほか、下旬から本格化した米主力企業の決算発表を受けて半導体関連やハイテク銘柄が買われ、米株主要2指数が最高値を更新しました。日本では、日銀による早期の政策修正観測の後退や円安の進行、企業統治改革の進展への期待に加え、新NISA開始を背景に個人投資家の買い意欲が高まったことなどが相場を押し上げ、下旬には主要株価指数が揃って33年11ヵ月ぶりの高値をつけました。

米欧で過度な利下げ観測が後退
米国では、1月末のFOMC(連邦公開市場委員会)において、市場の予想通り、4会合連続で政策金利が据え置かれました。声明文には、2%の物価目標達成に向け、より確かな自信を得るまで利下げは適切でないとの表現が追加され、早期の利下げに慎重な姿勢が示されました。今後の政策の行方を見極める手掛かりとして、雇用統計やインフレ率などの経済指標に加え、21日に公表されるFOMC議事要旨の内容などが注目されます。

欧州でも、1月下旬のECB(欧州中央銀行)理事会において、3会合連続となる政策金利の据え置きが決定されました。市場の関心は利下げ転換の時期に移っているものの、理事会メンバーの多くが早期利下げ観測を牽制する発言を行なっています。なお、足元では中東情勢の緊迫化を受けて原油価格が上昇傾向にあるほか、紅海での武装組織による商船攻撃などが、欧州でのインフレ再加速や生産活動の下押し要因となる可能性もあります。

日米で決算発表が本格化
1月下旬より本格化している米国企業の2023年10-12月期決算発表では、生成AIの普及などを背景に、2四半期連続での増益(前年同期比)が見込まれています。そうした中、増益率や業績見通しが市場予想を上回れば、米国株式市場への強力な追い風になると考えられます。

日本では、2月上旬から中旬にかけて、決算発表が本格化します。円安や値上げによる増収効果が追い風となる一方、中国経済の低迷が足かせになるとの見方もあり、決算の内容によっては、日本株式の年初からの騰勢に対し、持続力が試される局面になるとみられます。

インドネシアでは大統領選挙が実施される
インドネシアでは、14日に大統領選挙が実施されます。高い支持率を誇るジョコ大統領の路線継承を掲げるプラボウォ国防相が、3人の候補者の中でも優勢とみられていますが、現政権の批判票を取り込む戦略のアニス氏が勝利した場合などには、今夏から予定されている首都移転などの政策が見直される可能性があるほか、政治的な不安定を指摘する声もあります。

【図表】2月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。