政策金利は4会合連続で据え置き
米FRB(連邦準備制度理事会)が1月30日~31日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)では、市場予想どおり、政策金利(FFレートの誘導目標)が4会合連続で5.25~5.50%に据え置かれました。また、FRBの声明では、政策の先行きに関する説明が、従来は利上げに焦点を当てていたのに対し、今回は政策金利の調整という、より中立的なものに変わりました。ただし、インフレ率が目標の2%に持続的に向かっているとの確信を強めるまで、利下げが適切になるとはみていないとして、早期の利下げに慎重な姿勢を示しました。

FRBのパウエル議長はFOMC後の会見で、年内のある時点で利下げを行なう可能性が高いと述べたものの、次回3月の会合での利下げの可能性は低いとの見方を示し、金融市場で拡がっている過度な利下げ期待をけん制しました。なお、31日の金融市場では、この日発表された経済指標で労働需給の緩和が示唆されたことなどから、長期金利が低下し、円相場は1米ドル=146円台に上昇しました。他方、株式相場は、3月の利下げ観測が後退したことなどを受け、ハイテク株を中心に下落しました。

インフレ率は鈍化も、サービス分野中心に高水準
米国のインフレ率は、モノの分野では大きく鈍化し、サービス分野でも鈍化が進んだものの、依然として高い水準にあります。また、景気は減速方向ながら底堅く、労働市場も堅調に推移しています。こうした状況を踏まえると、根強い賃金上昇圧力などを背景に、サービス分野を中心としたインフレ率の高止まりや再加速の可能性も考えられます。

市場の利下げ期待とFRBの見方の間に乖離
31日の米金利先物市場では、利下げが3月にも始まる確率が35%前後に低下した一方、5月の確率は90%台後半に上がりました。インフレ率がFOMC参加者の想定方向に向かうとすれば、早晩、利下げが視野に入ってくるものの、現状では、市場での期待とFRBの見方の間には乖離が見受けられます。それがどのような形で埋まることになるのか、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働需給や賃金上昇率、長期金利の水準など、幅広いデータが注目されます。

【図表】[上図]当面のFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、[下図]23年12月のFOMC参加者の見通し(中央値)
【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。