近年、日本の投資信託市場では、基準価額の値動きを特定のインデックス(指数)に連動するように運用を行なう「インデックスファンド」の人気が高まっています。世界には様々な種類のインデックスがありますが、主要な1つとして、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(以下、ACWI)」が挙げられます。
世界の上場企業の8割超をカバーするACWI
ACWIは、米MSCI社が開発した時価総額加重型の株価指数で、先進国および新興国に上場する2,900超の銘柄によって構成されており、世界の株式時価総額の約85%をカバーしています(2024年2月末現在)。このため、同指数の動きに連動するインデックスファンドを活用することで、実質的に世界中の多くの銘柄に分散投資することが可能となります。
指数の中身は固定ではなく、状況に応じて変化
ACWIの構成国は固定されているのではなく、MSCI社が各国の経済の発展度合いや株式市場の流動性などを考慮し、基本的には毎年見直しを行ないます。例えば、2019年には、それまでACWIの構成国に含まれていなかったサウジアラビアが新興国の区分に追加されたほか、2022年には、ウクライナ侵攻に伴なう各国からの制裁によって投資が制限されていることなどを踏まえ、構成国からロシアが除外されました。
また、構成銘柄についても、株式の流動性や時価総額などの面で基準が設けられており、四半期(毎年2、5、8、11月)毎に見直しが行なわれます。直近2月の見直し時には、新たに24銘柄が構成銘柄に加わった一方、101銘柄が除外されました。除外された銘柄のうち、66銘柄が中国の銘柄となっており、ACWIに占める中国の構成比率は低下しました。対照的に、構成比率が上昇した主な国がインドであり、新たに5銘柄が追加されました。
ACWIの国・地域別構成比率を5年前と比較すると、先進国および新興国全体での比率には大きな変化はないものの、国別では米国の比率が大きく上昇した一方、日本の比率は低下するなどの変化が見られ、世界の株式市場の状況変化がインデックスに反映されていることが読み取れます【グラフ①】。
ACWIの過去の値動きを見ると、短期的には上昇・下落を繰り返しながらも、長期的には世界の経済成長と共に上昇してきました【グラフ②】。世界の幅広い銘柄に投資を行ない、経済成長の恩恵を受けるための選択肢の一つとして、ACWIの値動きに連動するインデックスファンドの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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