政策金利は5会合連続で据え置き
米FRB(連邦準備制度理事会)が3月19日~20日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)では、市場予想どおり、政策金利(FFレートの誘導目標)が5会合連続で5.25~5.50%に据え置かれました。また、FOMC参加者の見通し(中央値)では、政策金利は今年末で4.6%と、年内3回の利下げ想定で変わりありませんでした。今年1、2月のインフレ指標の上振れなどを背景に、一部では、年内の利下げ想定が2回に減るのではとの見方があったものの、それが避けられたことなどから、20日の米国市場では、国債利回りが低下し、主要株価指数が最高値を更新しました。

なお、FRBは現在、コロナ禍への対応で購入した米国債やMBS(住宅ローン担保証券)の保有額を削減するQT(量的引き締め)を行なっていますが、これについて、パウエルFRB議長は会見で、かなり早いうちにペースを緩めることが適切になると述べました。

インフレ率は鈍化も、サービス分野中心に高水準
米国のインフレ率は、モノの分野では大きく鈍化したものの、サービス分野での鈍化が緩慢なため、全体では依然、高い水準にあります。また、景気は減速見通しながら底堅く、労働市場も堅調に推移しています。こうした中、金融市場で優勢だった早期利下げ観測は後退が続き、3月に入ると、概ね「早くて6月開始、年内3回」となりました。なお、米金利先物が示唆する6月の利下げ開始の確率は、今回のFOMCの結果を受け、前日の6割弱から7割弱に上がりました。

景気見通しや来年以降の金利見通しは上方修正
今回、今年については、FOMC参加者の利下げ想定は不変だったものの、景気・物価見通しは引き上げ、失業率見通しは引き下げとなりました。また、来年以降については、景気および政策金利の見通しが引き上げられています。

年内の利下げについては、金融市場での見方が当局の想定に近づきつつある模様です。ただし、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働需給や賃金上昇率、長期金利の水準など、幅広いデータが注目を集めるとみられます。

【図表】[上図]当面のFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、[下図]24年3月のFOMC参加者の見通し(中央値)
【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
  • 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。