3月の金融市場では、米利下げ観測の後退などを背景に米欧の長期金利が上昇し、株安となる局面もあったものの、企業決算の内容が好調だったことや年半ばごろには米欧で利下げが始まるとの見方などから、米欧日の主要株価指数が最高値を更新しました。また、外国為替市場では、日銀が金融正常化へ動くとの観測などから一時、円が買われましたが、日銀の金融政策決定会合後、マイナス金利政策が解除されたものの、緩和的な金融環境は続くとの見方が拡がったことなどから、円安米ドル高傾向となりました。

QT(量的引き締め)ペース減速の可能性
米FRB(連邦準備制度理事会)は、利下げは年内に3回と予想していますが、市場では利下げ開始時期は早くて6月との観測が拡がっています。また、FRBは国債などの金融資産の保有を減らしていくQTを進めてきましたが、パウエル議長は、QTのペースを近く減速する方針を固めました。コロナ禍前と比べると未だ過剰流動性は残るものの、金融市場のリスク抑制のため、パウエル議長は「早いうちにペースを緩めることが適切になる」と述べました。早ければ4月末開催のFOMC(連邦公開市場委員会)で決定されるとの見方があり、その動向が注目されます。

マイナス金利解除後の金融政策の行方
日銀は、3月の金融政策決定会合で2016年2月から導入したマイナス金利政策の解除を決定しました。併せてYCC(長短金利操作)の撤廃やETF(上場投資信託)などリスク資産の買い入れ終了も決定し、金融正常化へ向けて大きな転換点を迎えています。ただし、日銀総裁が「当面、緩和的な金融環境は継続すると考えている」と述べたことから、外国為替市場では円安が進みました。また、株価も上昇し、日経平均株価は最高値を更新しました。日銀総裁は「物価見通しの上振れリスクが高まることがあれば政策変更の理由になる」と述べており、4月公表の日銀展望レポートの内容が注目されます。

4月からの制度改正と物流業界への影響
日本では4月から新年度が始まるとともに様々な制度改正が行なわれます。例えば、働き方改革の一環として、建設業、自動車運転業務、医師において時間外労働の上限規制が適用されます。なかでも自動車運転業務に関する改正は、「物流2024年問題」と言われており、物流業界の法整備が進む一方、法施行によって、物流会社は売上などの減少、人手不足といった問題が浮かび上がります。消費者にとっても送料の値上げや荷物到着の遅れなどの影響が考えられます。一方で、自動運転やドローンなど物流の効率化のためのイノベーションが進む可能性もあり、動向が注目されます。

【図表】4月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。