2024年の世界見通しは0.1ポイント上方修正
IMF(国際通貨基金)は4月16日に最新の世界経済見通しを発表しました。世界のGDP成長率は、2024年の見通しが前回1月の想定から0.1ポイント上方修正されたことに伴ない、23年から25年まで3年連続で前年比+3.2%とされています。こうした見通しは、世界経済が急減速を免れ、軟着陸に成功することを示唆しています。ただし、2000年~19年の平均成長率である+3.8%と比べると、低位安定成長ということになります。

個別の見通しは、米国やロシア、ブラジル、インドなどで上方修正、ユーロ圏などでは下方修正
個別の国・地域の24年の見通しについては、先進国では、米国が、昨年終盤にかけての、個人消費を中心とした景気の堅調さなどを反映して上方修正されました。なお、同国の25年の見通しについては、上方修正されたものの、金融・財政引き締めの影響が時間を経て効いてくるため、鈍化が想定されています。また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けているユーロ圏の24年の見通しについては、独・仏で消費者心理の低迷が続いていることなどから、下方修正されました。

新興国では、原油価格が高止まりする中、インドや中国への石油輸出の好調などを背景に、ロシアの見通しが大きく上方修正されました。

IMFは、こうした見通しの下振れ要因の1つとして、地政学リスクの高まりに伴なう物価の再上昇を挙げています。また、中国についても、問題を抱えている不動産部門に対して包括的な対策が打たれなければ、内需の低迷が長引き、同国の成長が鈍化するだけでなく、貿易相手国にも影響が及ぶ可能性があるとしています。

一方、見通しの上振れ要因の1つとして、財政政策が引き締められるとの想定に反して強化される場合を挙げています。ただし、これについては、後年、反動が生じることになります。その他に、インフレ率の予想以上に速い低下とそれに伴なう金融緩和の前倒し、AI(人工知能)の活用や構造改革などに伴なう生産性の伸びの加速を挙げています。

中長期予測では景気停滞を想定
なお、IMFによると、世界の中長期(5年先)成長率予測は、世界金融危機以降、生産性の伸びの弱さなどを背景として着実に低下しており、足元では、29年の想定で+3.1%と、過去数十年で最低水準となっています。IMFでは、生産的な企業への労働力や資本などの資源配分の改善、労働参加の促進、生産性向上に向けてのAI活用のための改革が至急必要だとしています。

【図表】[左図]IMFの世界経済見通し(実質GDP成長率)<白背景部分は2024年1月時点の予測との比較(%ポイント)>、[右図]世界の実質GDP成長率の推移(1990年~2025年予測)
  • 上記は過去のものおよび予測であり、将来を約束するものではありません。