4月は、米国で堅調な経済指標や金融当局者の発言などを受けて利下げ観測が後退し、長期金利が上昇したほか、イスラエル・イラン間での軍事的な衝突によって中東の地政学リスクが高まったことなどを背景に、世界株式は中旬にかけて軟調な推移となりました。その後は、米長期金利の上昇が一服したほか、中東情勢に対する警戒感が和らいだことなどから、世界株式は反発する局面が見られたものの、月末にかけて上値の重い展開が続きました。なお、外国為替市場では、米利下げ観測の後退などを背景に円安・米ドル高が進展し、円相場は一時、およそ34年ぶりの安値となる1米ドル=160円台に下落しました。
QT(量的引き締め)の動向も注目される米金融政策
米国では、4月30日~5月1日の日程でFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されています。足元で利下げ観測が後退する中、市場では、今回および6月、7月のFOMCでは政策金利が据え置かれ、利下げが行なわれるのは9月との予想が優勢となっています。また、3月のFOMCでは、FRB(連邦準備制度理事会)が国債などの保有額を減らすQTについて、近くペースを減速させることが示唆されました。これについて、早ければ今回の会合で決定されるとの見方があり、動向が注目されています。
中東やウクライナでの情勢不安が続く
4月には、イスラエルとイランの対立激化を背景に、地政学リスクが高まる局面が見られました。イスラエルはイランとの報復合戦の鎮静化を図るほか、イスラム組織ハマスとの停戦に向けて交渉する姿勢を見せているものの、先行きの不透明な状況が続いています。また、ウクライナ情勢を巡っては、米国でウクライナを支援するための大規模な緊急予算が成立しました。ウクライナのゼレンスキー大統領は5月から6月にロシアによる大規模攻勢が行なわれる可能性があるとの見解を示しており、今後、戦闘が激化すれば、投資家のリスク回避姿勢が強まることも予想されます。
引き続き注目される日米企業の決算動向
4月の後半以降、日米企業の決算発表が本格化しています。同月中旬には、オランダの大手半導体製造装置メーカーの決算内容が市場の期待に届かなかったことや、台湾の半導体受託製造大手が世界の半導体の生産見通しを引き下げたことなどをきっかけに、株式相場が大きく下落する局面が見られたこともあり、引き続き半導体関連企業の決算は大きな関心を集めると考えられます。また、日本企業による配当や自社株買いなど株主還元の動きが強まる中、一段の積極化が見られるのか、注目されます。
- 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
- 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。