政策金利は7会合連続で据え置き
米FRB(連邦準備制度理事会)は、6月11~12日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想通り、政策金利(FFレートの誘導目標)を7会合連続で5.25~5.50%に据え置きました。

ただし、FOMC参加者の最新の見通し(中央値)では、今年と来年の物価上昇率や政策金利が引き上げられました。そして、同見通しが示唆する利下げ回数(1回あたり▲0.25ポイントの前提)は、年内が従来の3回から1回へ減った一方、来年は4回と、従来の3回から増えました。なお、長期的な政策金利水準の見通しも引き上げられました。

12日の米国市場では、朝方に発表された5月の消費者物価指数が市場予想を下回り、前月から伸びが鈍化したことから、年内2回との利下げ期待が強まり、国債利回りが低下、株式相場は上昇しました。その後、FOMCの結果などが伝わると、国債利回りの低下幅が縮まったほか、ニューヨーク・ダウ工業株30種は小幅安に転じたものの、利下げ期待が続いたことなどから、S&P500、ナスダック総合の両指数は最高値を更新しました。

インフレ率は鈍化も、サービス分野中心に高水準
米国のインフレ率は、モノの分野では沈静化したものの、サービス分野での鈍化が緩慢なため、全体では依然、2%の物価目標を大きく上回っています。また、景気は底堅く、労働市場も、緩やかに軟化しているものの、堅調に推移しています。

今回のFOMCの声明では、インフレ率について、ここ数ヵ月、物価目標に向けての緩やかなさらなる進展がみられたと、一定の評価がなされました。ただし、パウエル議長は会見で、物価目標に持続的に向かっているとの確信を強めるためには、良好なデータをさらに目にする必要があると述べました。

今後の判断はデータ次第
金融政策の行方を巡っては、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働需給や賃金上昇率、長期金利の水準など、幅広いデータが注目されます。市場では、データ次第で年内2回の利下げもあり得るとみられています。なお、米大統領選挙(11月5日投開票)と前後する11月のFOMCでは、選挙への影響を避けるべく、利下げの可能性は低いとの見方が有力です。

【図表】[上図]年内のFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、24年6月のFOMC参加者の見通し(中央値)、[下図左]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[下図右]米労働市場の主要指標の推移
  • 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。