11月5日の米国の大統領選挙まで残すところ5ヵ月弱となりました。民主党のバイデン氏と共和党のトランプ氏による再対決が注目を集めていますが、米国では予算編成などで議会が強い権限を有することから、同時に実施される議会選挙の動向からも目が離せません。

そこで、足元の選挙情勢や、大統領・議会(多数派)の政党組み合わせと株価の関係などについて、2回にわたってご紹介します。

全体として接戦も、上院は共和党がやや有利か
足元の選挙情勢を各種世論調査で確認すると、大統領選挙を巡る支持率で、トランプ氏がバイデン氏を僅かにリードしています。ただし、その差は平均で1ポイント以内と拮抗しています。

上院選挙については、今回の改選対象(全議席の約1/3)で民主党の議席が多いこともあり、共和党がやや有利とみられています。

全議席改選の下院選挙については、共和党が若干優勢との見方があるものの、複数の選挙区で激戦が予想されており、大統領選挙同様、状況は流動的です。

以上から、民主党が上院と下院の両院をおさえる可能性はやや低いとみられるものの、トリプルレッド(大統領に加え両院を共和党がおさえる)やバイデン氏再選とねじれ議会(両院を異なる政党がおさえる)など、様々な組み合わせが考えられる状況にあります。

民主党が両院勝利とならなければ好材料か
1933~2023年の大統領・議会の政党組み合わせ別に株価リターン(S&P500指数ベース)を集計すると、民主党の大統領の場合は、ねじれ議会のリターンが(下グラフ【A】)、共和党の大統領の場合は、トリプルレッド(下グラフ【B】)のリターンが最良でした。一般に民主党は規制強化を、共和党は規制緩和を志向しているとされ、民主党の大統領の時には議会のブレーキがあった方が、共和党の大統領の時には議会と足並みが揃った方が、株価への追い風となりやすい、といったことが一つの要因として考えられます。

一方で、大統領がいずれの政党の場合でも、両院とも民主党の場合は、リターンが相対的に低調でした(下グラフ【C】)。民主党が両院をおさえると、大統領が民主党の場合はもちろん、共和党であっても、議会の影響力により規制色が強まることなどが背景にあるのかもしれません。

こうした過去のパターンを踏まえると、足元の選挙情勢で、民主党が両院をおさえる可能性がやや低いとみられることは、株式市場にとって好材料と思われます。

ただし、過去のパターンが必ずしも将来に当てはまるわけではないので、これだけを先行きの判断材料とするわけにはいきません。よって、次回は大統領・議会選挙の株価への影響について、市場参加者の見方と、両党の主要政策論点に関するスタンスといった観点からも考察します。

【図表】過去の米国の大統領・議会の政党組み合わせと株価リターン
  • 指数に関する著作権等の知的財産権その他一切の権利は、当該指数の算出元または公表元に帰属します。
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。