6月の世界株式は、米利下げ観測の強まりなどから上昇して始まったものの、欧州議会選挙での右派の躍進を受け、欧州での政治リスクが懸念されたほか、米FOMC(連邦公開市場委員会)で、年内の利下げが従来の想定より少ない1回と示唆されたことなどから、弱含む場面も見られました。しかし、その後は、米インフレ率の鈍化が確認されたほか、欧州での懸念が一旦和らいだことなどから再び上昇基調となりました。なお、S&P500、ナスダック総合の両米指数が過去最高値を更新したほか、外国為替市場においては、円相場が一時、1米ドル=161円台まで下落し、1986年12月以来の円安・米ドル高水準となりました。

米国では9月に利下げが開始されるかが焦点に
6月の米FOMCでは、市場予想通り、7会合連続で政策金利が据え置かれた一方、利下げに慎重なFRB(連邦準備制度理事会)の姿勢が示されました。こうした流れから、30-31日開催のFOMCで利下げが実施される可能性は低いとみられています。なお、市場では、利下げは年内2回、最短で9月に開始との見方が優勢となっており(資料作成時点)、引き続き、物価や経済指標などが注目されます。

日本では追加利上げが決定される可能性も
一方、同じく30-31日開催の日銀の金融政策決定会合では、6月会合で決定された国債買い入れの減額方針について、今後1-2年程度の具体的な計画が策定されるほか、データ次第では、追加利上げが決定される可能性もあります。

欧州では仏英の選挙動向に高い関心が集まる
フランスでは、7日に国民議会(下院)総選挙の決選投票が行なわれる予定です。資料作成時点では、ルペン氏率いる極右政党・国民連合が優勢と伝えられており、付加価値税の引き下げなどを選挙公約に掲げる同党から首相が誕生すれば、同国の財政悪化や政治の不安定化などへの懸念がさらに高まると考えられます。また、4日に下院総選挙が実施される英国では、野党・労働党が与党・保守党から約14年ぶりに政権を奪還する可能性が高いとみられています。労働党の選挙公約では、20年に離脱したEU(欧州連合)との貿易を円滑にするための新協定の締結などが掲げられており、その実現可能性などにも注目が集まります。

中国共産党の重要会議、3中全会が開催される
中国では、15-18日に共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)が開催されます。同国では、不動産不況や地方財政の悪化などから経済の活性化が課題となっており、同会議にて、今後の具体的な改革方針が示されるかが注目されます。

【図表】7月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。