日本では、2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)が始まったことなどを背景に、資産を投資に回す動きが拡がりつつあります。こうした中、過去の相対的に高いリターン実績などから、米国株式の人気が高まっています。

米国株式は魅力的なリターン実績を誇っている一方、相応にリスクも高く、資産配分が米国株式に偏っている場合、短期的に大きな下落に見舞われる可能性もあります。そこで、ポートフォリオのリスクを低減させるための選択肢の一つとして、「債券を併せ持つ」という方法が考えられます。

株式と債券は、リスク・リターン水準や値動きが異なる
一般に、株式は高リスク・高リターン、債券は低リスク・低リターンの資産と言われています。両者の過去の中長期での実績(円ベース)を比べると、米国の主要な株価指数のリスクやリターンは高く、最大下落率(最大ドローダウン:高値から最も下落した値)も大きくなっています。一方で、債券はリターンは低いものの、リスクや最大下落率も小さく抑えられており、株式に債券を併せ持つことで、ポートフォリオのリスク低減につながると考えられます【グラフ①】。

また、値動きの特徴として、株式は景気が上向き、企業業績が改善する局面で価格が上昇し、景気後退時には企業業績の悪化に伴ない価格が下落する傾向にあります。一方、債券は景気が上向くと市中金利も上昇傾向となるため価格が下落傾向となり、逆に景気後退時には市中金利の低下に伴ない価格が上昇する傾向にあります。このように、債券は株式と異なる値動きの特徴を有しており、資産としての分散効果が期待されます。

為替変動の影響も考慮すると、長期債への分散投資がより有効
ただし、円ベースでの両資産の値動きの相関係数*に着目すると、長期債は株式との相関がほぼ0となっている一方、短期債は株式との相関が比較的高くなっています【グラフ①】。こうした違いが生じる背景として、債券は残存期間が長いほど市中金利変動時の価格変動が大きくなる傾向がある一方、短期債は価格変動が小さいことから投資成果(円ベース)に占める為替変動の影響が大きくなり、結果として株式(円ベース)との相関が高まるものと考えられます【グラフ②】。

このようなことから、株式との分散効果を期待して債券に投資する場合、債券の特徴や為替変動の影響などを踏まえ、残存期間の長い債券に注目してみてはいかがでしょうか。
2つの資産間の値動きの連動を表す数値であり、1から-1の間で、1に近いほど同じような値動きに、-1に近いほど異なる値動きになることを表します。

【グラフ①】米国の株式・債券(円ベース)の推移、リターン・リスクの水準など  
【グラフ②】米国の債券(米ドルベース)と米ドル(対円)の推移  
  • (信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成)
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。