近年、日本の投資信託市場では、基準価額の値動きが、特定のインデックス(指数)と連動するように運用を行なう「インデックスファンド」が注目されています。なかでも、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(以下、ACWI)」を対象にしたインデックスファンドは人気があり、ACWIも以前に増して、注目度が高まっています。

ACWIの8月の構成銘柄の入替えが発表に
ACWIとは、米MSCI社が算出する時価総額加重型の株価指数で、先進国および新興国の株式市場に上場する約2,760の銘柄によって構成されており、世界の株式時価総額の約85%をカバーしています(2024年7月末現在)。このため、ACWIの動きに連動をめざすインデックスファンドを活用することで、実質的に世界中の銘柄に分散投資することが可能となります。

ACWIの構成国は固定されているのではなく、MSCI社が各国の経済の発展度合いや株式市場の流動性などを考慮し、基本的には毎年見直しを行ないます。また、構成銘柄についても、株式の流動性や時価総額などの面で基準が設けられており、四半期(毎年2、5、8、11月)毎に見直しが行なわれます。8月30日の取引終了後に予定されている構成銘柄の見直しでは、ACWI全体で、新たに27銘柄が追加される一方、96銘柄が除外されることが発表されました。そのうち、日本については、1銘柄が追加され6銘柄が除外されます。今回、除外数が60と最多だった中国では、新たに2銘柄が追加されます。一方で、追加数が7と最多だったインドは、除外は1銘柄のみでした。

存在感を増すインド株式
MSCI社が株価指数の銘柄入替えを発表すると、その内容を受けて、インドの構成比率の上昇が話題になることが最近、増えています。

ACWIを構成する先進国と新興国のそれぞれに株価指数があり、先進国の株価指数が「MSCIワールド・インデックス」、インドを含む新興国の株価指数が「MSCIエマージング・マーケット・インデックス(以下、MSCI-EM)」です。MSCI-EMにおけるインドと中国の構成比率をみると、5年前(2019年7月末時点)は、中国が31.6%、インドが8.6%と、2国間で開きがありました。しかし、直近(2024年7月末時点)では、インドが20.0%と中国の24.5%に近づいており、その差が縮まっています。【グラフ②】。またACWI対比でみてもインドや中国は、今やスイスやフランスと並ぶ構成比率であり【グラフ①】、投資家にとって容易には無視できない株式市場となっています。

構成国や銘柄の見直しを通じて、ACWIは世界株式市場の状況の変化を反映しています。よって、ACWIの国・地域の構成比率を時々確認し、それをご自身のポートフォリオに反映(国・地域の過不足を調整)するなど、資産形成の参考にすることができます。

【図表】株式市場において、近年、インドの存在感が増しています
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。