8月は、月初に、米国で軟調な経済指標が発表され景気後退懸念が強まったことや、中東情勢の悪化によって投資家のリスク回避姿勢が強まったことなどを背景に、世界株式は大きく下落しました。しかしその後は、米国で労働市場や景気に対する過度な懸念が和らいだほか、米FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が9月の利下げを示唆したことなどを受け、世界株式は月末にかけて回復基調となりました。ただし、日本の株式相場については、外国為替市場で円高・米ドル安が進んだことなどから、相対的に上値の重い推移となりました。

引き続き注目される主要国・地域の金融政策
9月には、主要国・地域で金融政策決定会合が相次いで開催される予定となっており、17日からは、米国でFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれます。8月のジャクソンホール会議において、パウエルFRB議長が「政策を調整すべき時が来た」と発言したことなどから、市場では9月の利下げが確実視されており、関心は利下げの幅やペースに移っています。このような状況の中、FOMC開催までに発表される8月の雇用統計などの経済指標の内容も注目されます。

19日からは、日銀の金融政策決定会合が開かれます。8月、衆参両院の閉会中審査に出席した日銀の植田総裁は、経済・物価が見通しに沿って推移すれば、今後も利上げが必要との見解を改めて示しました。7月の会合で利上げを行なった後、外国為替市場で急速に円高が進み、日本の株式相場が大きく下落したこともあり、9月の会合および会合後の植田総裁による会見の内容には、大きな注目が集まると考えられます。

日米での政治イベントにも関心が集まる
米国では10日に、民主党カマラ・ハリス副大統領と共和党ドナルド・トランプ前大統領による大統領候補者テレビ討論会が行なわれる予定です。米メディアなどが8月に実施した世論調査によると、両者の支持率は概ね拮抗しており、初の直接対決となる討論会の内容次第では、今後の支持率などに大きな影響を及ぼす可能性があります。

日本では27日に、自民党総裁選挙の投開票が行なわれます。現職の岸田首相が今回の総裁選に立候補しない考えを表明し、閣僚や党執行部のメンバーが立候補しやすくなったことなどを背景に、多くの候補者が出馬に意欲を示しています。市場では、今回の選挙で勝利した新総裁が早期に衆議院を解散し、総選挙に臨むとの見方もある中、各候補の政策方針や選挙の動向に大きな関心が寄せられています。

【図表】9月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。