6月に続く利下げを決定
ECB(欧州中央銀行)は、9月12日の政策理事会で、6月以来、2会合ぶりとなる利下げを決定しました。3つある政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」は前回と同じく0.25ポイント引き下げられ、3.50%となります(18日から適用)。なお、市場金利の中心となる「主要政策金利」と、上限となる「限界貸出金利」は、それぞれ、3.65%、3.90%と、0.6ポイント引き下げられますが、そのうちの0.35ポイントは、3月に発表された政策金利の枠組み変更(従来、0.5ポイントだった、中銀預金金利と主要政策金利の差を9月18日から0.15ポイントに縮小)に伴なうテクニカルなものです。
ECBのラガルド総裁は会見で、利下げが遅れる場合、物価が予想外に下振れする可能性に言及しました。ただし、今後の利下げはデータ次第だとして、特定の道筋を確約しませんでした。このため、市場では利下げ観測がやや後退し、ユーロ圏の国債利回りが上昇したほか、ユーロが対米ドル、対円で買われました。ユーロ圏の株式相場は、欧米の利下げ観測などを背景に上昇しました。
サービス価格の伸びは高止まりも、弱まる見通し
ユーロ圏では、消費者物価指数が、直近8月の速報で前年同月比+2.2%と、2021年7月以来、約3年ぶりの低い水準となったほか、食料品、エネルギー、アルコール、タバコを除くコアでも3%を下回るなど、2%の物価目標に向けた改善が見られます。こうした中、焦点となっているのが、賃上げの動きなどを反映し、4%台で高止まりしているサービス価格の伸びです。ただし、妥結賃金の伸びは4-6月期に2四半期ぶりに鈍化しました。また、ECBは今回の声明で、企業が労働コストの高まりを収益で吸収しており、価格転嫁を通じたインフレ圧力も次第に弱まるとの見方を示しました。
一方、ユーロ圏の景気については、減速懸念が根強い状況です。今回も、ECBスタッフの2026年にかけてのGDP成長率予想が0.1ポイントずつ下方修正となりました。
市場では12月の追加利下げをほぼ確実視
今後も、データの行方に応じて、利下げが検討される見通しです。なお、金融市場では、次回10月の利下げを見込む向きは限定的ながら、12月の利下げがほぼ確実視されている状況です。
- ECBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。