4年半ぶりの利下げを決定
米FRB(連邦準備制度理事会)は、9月17~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、4年半ぶりとなる利下げを決定し、政策金利(FFレートの誘導目標)を4.75~5.00%としました。また、FOMC参加者の見通し(中央値)では、年末までにさらに0.5ポイントの利下げの可能性が示唆されました。
今回の利下げについて、0.5ポイントを見込む向きもあったものの、予想の中心は0.25ポイントでした。そのため、結果発表直後の米国市場では、国債利回りが低下、株式は買い優勢となりました。しかし、パウエルFRB議長が会見で、0.5ポイントの利下げペースが今後も継続すると想定すべきでないと述べたことなどから、その後、債券、株式とも利益確定売りに押され、国債利回りは上昇、株式相場は下落に転じて引けました。外国為替市場では一時、ドル・インデックスが2023年7月以来の安値をつけたほか、円相場は1米ドル=140円台半ばに上昇したものの、その後、同インデックスは上昇に転じ、円相場も142円台に反落して引けました。
インフレ改善に進展、労働市場は依然、堅調
米国のインフレ率は、モノの分野では沈静化し、サービス分野でも鈍化傾向となっています。今回のFOMCの声明文では、インフレ率について、「幾分、高止まり」との表現こそ維持されたものの、「2%の物価目標に向けて持続可能な形で推移しているとの確信を深めた」と記されました。
また、雇用の増加ペースは鈍化したものの、引き続き力強く、失業率も上昇したとはいえ、依然、低いとして、経済活動が堅調なペースで拡大を続けているとの評価が声明文に盛られています。今回の大幅利下げは、こうした環境下で、経済を軟着陸に向かわせるための措置だと考えられます。
今後の判断はデータ次第
FRBは、雇用とインフレの双方に対するリスクに細心の注意を払うとしており、金融政策の行方を巡っては、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働需給や賃金上昇率、長期金利の水準など、幅広いデータが注目されます。なお、今回のFOMCおよびパウエル議長の会見を受け、金利先物市場では、年末までに0.7ポイント弱の追加利下げを織り込む形となりました。
- 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。