9月の株式市場では、米経済指標が製造業や労働市場の減速を示したほか、成長鈍化懸念などからハイテク銘柄が売られ、上旬に世界的に株価が下落しました。また、日本では、米国の金利低下を背景に日米金利差の縮小を見込んだ円高が進行し、株式相場は中旬にかけて一段安となりました。その後は、米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げへの期待や、ハイテク銘柄の見直し買いが進んだこと、さらに、18日にFRBが大幅利下げを決定すると、米経済の軟着陸期待が拡がったことなどから、月末にかけて世界的に株価が反発しました。とりわけ中国では、当局が月末にかけて景気支援策を相次いで発表し、株価が急反発しました。

引き続き各国・地域の金融政策に注目
米国では、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で通常の倍にあたる0.5ポイントの利下げが決定されました。また、参加者の政策金利見通しでは、年内に更に0.5ポイントの利下げの可能性が示唆されました。パウエルFRB議長は継続的な大幅利下げを否定したものの、次回11月の会合で再び0.5ポイントの利下げが実施されるとの見方も根強く、今後の政策の行方を見極める手掛かりとして、各種経済指標や、8日に公表される9月のFOMC議事要旨の内容などが注目されます。

17日には、ECB(欧州中央銀行)の政策理事会が開催されます。ユーロ圏ではインフレの鈍化が続く一方、景気の下振れ懸念が強まっており、ECBは難しい舵取りを迫られています。9月に続いて2会合連続での利下げを予想する声は少数ですが、ECBのラガルド総裁は、今後の利下げはデータ次第と述べていることから、各種経済指標などに関心が集まります。

日本では、30~31日に金融政策決定会合が開かれます。日銀の植田総裁は今後の追加利上げについて判断を急がない姿勢を示しており、前回9月に続き、10月も政策金利が維持される見込みです。

日米の選挙動向などが注視される
日本では、1日に臨時国会が召集されます。同日の衆参両院の本会議で石破氏が新首相に指名され、新内閣が発足する見通しです。衆議院の解散・総選挙に関し、石破氏は、9日に解散、27日投開票の日程で総選挙を行なう方針を表明しています。そうした中、政策や政権安定化などへの期待から、総選挙前後は株価が上昇しやすいとの経験則(アノマリー)が意識される可能性があります。

米国では、11月5日に大統領選挙を控え、選挙戦が大詰めを迎えます。足元の世論調査では、僅差ながらも民主党のハリス候補が共和党のトランプ候補に対して優勢を保っており、双方の政策を巡る議論や言動などが注目されます。また、大統領の政党が上下両院の過半数を獲得すれば、予算や税制で政策を実現しやすくなるため、同日に実施される上下両院選挙の結果も注視されます。

そのほか、22日から開催されるBRICS首脳会議には多くの新興国が参加する見込みです。議長国のロシアは、欧米に対抗すべく新興諸国との連携を深める姿勢を示しており、動向が注目されます。

【図表】10月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。