米国の代表的な株価指数であるS&P500指数は、日々の報道でも広く取り上げられており、米国株式といえばS&P500指数、という印象を持つ方も少なくないのではないでしょうか。しかし、時価総額の大きい大型株式で構成される同指数が米国株式のすべて、というわけではありません。同指数でカバーされていない、時価総額が相対的に小さい中小型株式には、大型株式にはない投資魅力があります。
そこで本稿では、中小型株式の動きを捉えるS&P1000指数に注目し、大型株式(S&P500指数)と比べた場合の資産特性や、大型株式と中小型株式の併せ持ちで期待される投資効果などを、ご紹介します。
高リターンなど優れた特性を持つ中小型株式
中小型株式の資産特性に関し、1998年12月末から2024年9月末を検証期間として、リターン(各指数の月次騰落率の年率換算平均値)を算出したところ、10.7%と、大型株式の8.5%を上回りました(左下グラフ)。この結果は、一般に、大型株式では企業の事業が成熟しているのに対し、中小型株式では発展段階にあり、企業収益の中長期的な成長性が高いことを反映しているとみられます。
そうした反面、事業の安定性に欠けるためか、リターンのばらつきでみたリスクについては、中小型株式が大型株式より高い値になりました。
もっとも、リスクに対してどれだけリターンが得られたかを示す運用効率(リターン÷リスク)では、中小型株式が大型株式よりも良好な値となりました。これは、中小型株式の、高リターンの割にはリスクが相対的に抑制されているという、優れた資産特性を示していると考えられます。
米国株式投資での分散化手段としての魅力も
上記と同一の検証期間について、大型株式に加えて中小型株式を保有した場合のリターン、運用効率などを、投資比率ごとに試算したところ、中小型株式の組み入れで、ポートフォリオ(保有資産)のリターンと運用効率を改善させる効果があることが示されました(右下グラフ)。特に、中小型株式の投資比率が50~90%の場合では、大型株式と中小型株式にそれぞれ単独で投資した場合よりも運用効率が高いという結果になりました。
米国の大型株式はハイテクセクターの比率が高く、グローバル景気の影響を受けやすい特徴があります。一方で、中小型株式は製造業や消費関連のセクター比率が高く、米国の内需の動向からの影響を受けやすい特徴があります。そのため、大型株式から中小型株式へ投資対象を拡げることで、両者の異なる特徴が融合した、分散化されたポートフォリオの構築ができることが、上述の結果の背景にあると推察されます。
こうしたことから、米国の中小型株式は単独の投資対象としても、大型株式との併せ持ちの対象としても魅力的と考えられます。米国株式の投資機会を拡げる手段として、中小型株式に注目してみてはいかがでしょうか。
![【図表】[左図]米国の大型株式と中小型株式の資産特性、[右図]米国の大型株式と中小型株式の併せ持ち効果](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-2020.jpg)
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