9月に続き、2会合連続で利下げを決定
ECB(欧州中央銀行)は、10月17日の政策理事会で、インフレ率が順調に鈍化する一方、景気見通しは悪化しているとして、2会合連続となる利下げを決定しました。利下げ幅は市場予想通りの0.25ポイントで、主要政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」は3.25%となりました。
17日の市場では、ユーロ圏の国債利回りはやや上昇したものの、次回12月の会合でも利下げが行なわれるとの見方が強まりました。そして、外国為替市場では、ユーロが対米ドルで下落し、一時、8月初め以来の安値をつけました。また、ユーロ圏の株式相場は総じて上昇し、独DAX指数が最高値を更新しました。
サービス価格の伸びは高止まりも、弱まる見通し
ユーロ圏では、消費者物価指数が9月に前年同月比+1.7%と、2021年6月以来、3年3ヵ月ぶりに2%を下回ったほか、食料品、エネルギー、アルコール、タバコを除くコアでも3%を下回るなど、2%の物価目標に向けた改善が見られます。こうした中、焦点となっているのが、賃上げの動きなどを反映し、4%前後で高止まりしているサービス価格の伸びです。ただし、妥結賃金の伸びは4-6月期に2四半期ぶりに鈍化しました。また、ECBは、企業が労働コストの高まりを収益で吸収しており、価格転嫁を通じたインフレ圧力も次第に弱まるとの見方をしています。なお、ECBは前回9月の理事会で、インフレ率が目標水準の2%まで低下するのに「2025年下期」までかかるとの見方を示していましたが、今回はそれを「2025年中」に改めました。
一方、ユーロ圏の景気については、PMI(購買担当者指数)が足元で悪化するなど、減速懸念が強まっている状況です。こうした中、ECBのラガルド総裁は会見で、景気後退は想定していないものの、経済成長へのリスクは依然、下振れ方向に傾いているとの見解を示しました。
市場は来春までの連続利下げをほぼ織り込み
ECBは、今後の利下げはデータ次第だとして、会合ごとに判断していく意向を引き続き示しています。ただし、金融市場では、ECBの政策の軸足が経済の下支えに傾いたとして、2025年4月までの全会合で0.25ポイントの利下げが行なわれる可能性が織り込まれている状況です。
- ECBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。