政策金利は2会合連続で据え置き
日本銀行(以下、日銀)は、10月30~31日に開催した金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物金利の誘導目標)を0.25%程度で据え置くことを決めました。
また、新たに公表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2025年度の実質GDP成長率を上方修正、消費者物価指数を下方修正した以外、見通しに大きな変更はなく、インフレ率が2026年度にかけて物価安定目標の2%に収束していくとのシナリオを維持しました。なお、賃金上昇率については、従来の「基調的に高まっていく」との表現から、「名目賃金ははっきりとした増加が続くとみられる」に変更されました。
31日の市場では、利上げの見送りが想定されていたことから、株式・債券市場で大きな反応は見られませんでした。ただし、その後、日銀の植田総裁の会見を受け、円相場は夕方以降に上昇し、海外で一時、1米ドル=151円台となりました。
植田総裁、「時間的余裕」との表現を今後使わず
植田総裁は会見で、経済・物価が見通しに概ね沿って推移すれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針を再確認しました。また、米経済指標の弱さなどを背景に、8月以降、不安定化した金融・資本市場については、かなり良い米経済指標がここ1ヵ月程度続く中、少しずつ安定を取り戻したとの見解を示しました。そして、従来は、追加利上げに向けて、米国など海外の経済状況や市場の動向を見極めるために「時間的余裕がある」と繰り返してきたものの、今後は同表現を使わないと述べました。
同総裁は利上げの時期について、予断を持っていないと述べ、データを総合して、毎回の決定会合で判断するとしました。ただし、会見を通じて、市場では、同総裁が利上げに前向きだとの見方が拡がることとなり、円相場が上昇しました。
国内政治情勢が不安定化
先の衆院選の結果を受け、国内の政治情勢が不安定になっています。加えて、11月5日の米大統領選挙の結果によっては、同国の政策が大きく変わる可能性もあります。こうしたこともあり、日銀は今後、内外の政治情勢も踏まえながら、政策判断を慎重に進めるとみられます。
- 日銀、総務省、厚生労働省などの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。