IMF(国際通貨基金)が10月22日に発表した最新の世界経済見通しによると、インフレが鎮静化に向かう中、世界景気は軟着陸するとされ、世界のGDP成長率は、2023年の前年比+3.3%に続き、2024、2025年とも+3.2%と予想されています。

ただし、地政学リスクのほか、追加関税の応酬のような保護主義的貿易政策が採られる可能性など、見通しに対するリスクは下振れ方向に傾いているとされています。また、世界の成長率は中長期的にも3%程度と、勢いを欠く可能性が高いと指摘されています。

世界株式のうち、クオリティ株、小型株、グロース株では景気減速局面において耐性が見られる
左下のグラフは、2001年以降の世界景気の加速・減速それぞれの局面における、世界株式(税引後配当込み、米ドル・ベース)の主要スタイル毎の平均騰落率です。また、右下のグラフは、2000年末から今年10月末までのスタイル別の株価推移です。

これらを見ると、中長期で最高のパフォーマンスを記録したのは、収益力が強く、財務も堅実なクオリティ株です。クオリティ株の場合、景気の加速局面での値上がり率は小型株やグロース株に次いで3番目にとどまったものの、減速局面では最大の値上がりとなったことが好パフォーマンスにつながりました。中長期でクオリティ株に次ぐパフォーマンスとなったのは、小型株です。小型株の場合、景気の加速局面で最も大きく値上がりしたほか、減速局面ではクオリティ株に次いで大きな値上がりとなっています。そして、中長期パフォーマンスの第3位は、景気の加速局面では小型株に次ぐ値上がりを記録し、景気の減速局面ではクオリティ株や小型株に次ぐ値上がりとなったグロース株でした。

【図表】[左図]景気加速・減速局面での世界株式の平均騰落率、[右図]世界株式のスタイル別の株価推移

投資効率に優れるクオリティ株
次に、同期間の主要スタイルのリターンやリスクを比較すると、小型株は、リターンが最も高いものの、株価の振れの大きさからリスクも最も高いため、リスクあたりのリターン(下表のリスク・リターン比)、つまり、投資効率は最高とはなっていません。一方、クオリティ株の場合、リターンでは小型株に及ばないものの、リスクが最も低いため、投資効率が最も高くなっています。

中長期の投資に当たっては、景気は常に変動し、良い時もあれば悪い時もあるということを念頭に置いた上で、相対的にリスクが低く、投資効率の高いクオリティ株に注目してみてはいかがでしょうか。

【図表】世界株式のスタイル別の価格特性
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