債券とは、国や政府機関、国際機関、事業会社などが資金を調達するために発行する証券です。発行者にとっては資金調達の手段ですが、投資家にとっては、利子や売買差益の獲得を目的とした投資商品となります。

債券投資の入口は、新規発行時の購入か、発行後の流通市場での購入であり、出口は満期償還か、途中での売却となり、債券投資の手法は、主として、この入口と出口の組み合わせとなります。

新規発行時に債券を購入する際の投資収益
定期的に利子が支払われる利付債を購入し、満期まで保有する場合の債券投資を考えてみます。この投資で期待できる収益は、利子の受取りと、償還差益(後述)となります。

利子は債券毎にあらかじめ決まっており、決まった時期に額面に対して決まった率の利子が支払われます。一方、償還差益は買付価格(購入時の価格)と、あらかじめ決まっている償還価格(満期時の価格)との差になりますので、購入価格によっては差益ではなく差損となる場合もあります。

新規発行時に債券を買う新発債(下表の債券A)投資の場合の投資収益は、満期までの期間に支払われる利子の合計が大半で、これに購入価格と償還価格の差額が生じる場合に、それを調整した値となります。

流通市場で債券を購入する際の投資収益
一方で、発行後の債券(既発債)を流通市場で購入する場合、発行後の市場金利の変化によって債券ごとに価格は変動するため、投資する債券の価値を選別する必要が出てきます。この際、用いられるのが各種の利回り(収益率)であり、債券投資では、この利回りなどが参考情報となります。

「直接利回り」=年利息÷買付価格
債券の利子は、額面に対して決まった率で支払われますので、利子の受取金額は一定ですが、購入価格によって投資家ごとに利回りが異なります。債券B(下表参照)の場合、額面(通常100)以下で購入していますので、直接利回りは利率を上回っています。

「最終利回り」={年利息+(償還価格-買付価格)÷残存期間}÷買付価格
満期まで保有する場合、満期時の償還金額はあらかじめ決まっていますので、購入価格との差分が発生します。この差分を満期までの期間(残存期間)で按分し、毎年の利子と合わせた利回りを最終利回りと呼びます。

債券Bの場合(以下の数値は額面に対しての数値)、購入価格は65.5であるのに対し、保有期間26年分の利子の受取りが52.0(2×26年)、償還差益が34.5(100.0-65.5)となり、これらを合わせた86.5が投資収益となります。

債券Bの投資収益は132.06%(86.5÷65.5)となり、最終利回りは5.08%と計算されます。

債券投資のリスク
債券投資にはリスクも存在します。満期まで保有する場合、投資期間中の市場金利の変動による債券の価格変動リスクは無視できますが、債券の発行者の財務状況により、利子の支払いが行なわれないリスクや、満期時に償還が行なわれないリスクがあります。

また、外国通貨で発行された債券に投資した場合、その通貨と日本円の間の為替変動リスクがあります。こうしたリスクへの配慮や、銘柄選択などを考慮すると、投資にあたっては、投資信託など専門家の力を利用することも有効です。

【図表】債券の例(架空の債券)
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記はシミュレーションであり、将来を約束するものではありません。