2会合連続となる利下げを決定
米FRB(連邦準備制度理事会)は、11月6~7日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、2会合連続となる利下げを決定し、政策金利(FFレートの誘導目標)を4.50~4.75%としました。今回の決定は、市場予想通りでした。

パウエルFRB議長は会見で、今後の利下げについて、具体的な引き下げペースや最終的な着地点はデータ次第としながらも、景気を抑制も刺激もしない中立水準に向けて政策金利を徐々に引き下げる姿勢を改めて示しました。

7日の米国市場では、パウエル議長が今後の利下げ見送りを示唆しなかったことなどから、国債利回りが低下したほか、S&P500、ナスダック総合の両株価指数が最高値を更新しました。また、外国為替市場では米ドルが売られ、円相場は1米ドル=153円前後に上昇しました。

インフレ改善に進展、経済活動は堅調
米国のインフレ率は、モノの分野では沈静化し、サービス分野でも鈍化傾向となっています。今回のFOMCの声明文では、インフレ率について、「幾分、高止まり」との表現こそ維持されたものの、「2%の物価目標に向けて進展した」と記されました。

また、労働市場については、年初来、概ね緩和しているとしながらも、失業率は上昇したとはいえ、依然、低いとして、経済活動が堅調なペースで拡大を続けているとの評価が声明文に盛り込まれました。

今後の判断はデータ次第
大統領・議会選挙の結果について、パウエル議長は、短期的には金融政策に影響を与えないとの見方を示しました。また、新政権の政策が具体化した段階で、物価の安定と雇用の最大化というFRBの2つの目標への影響を評価するという、通常のプロセスを踏むと述べました。

金融政策の行方を巡っては、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働需給や賃金上昇率、長期金利の水準など、幅広いデータが注目されます。なお、今回のFOMCおよびパウエル議長の会見を受け、金利先物市場では、次回12月の会合で0.25ポイントの追加利下げが行なわれる可能性が70%台と示唆されています。

【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移
【図表】[上図]2025年半ばまでのFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、[下図]24年9月のFOMC参加者の見通し(中央値)
  • 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。