近年、投資信託の中でも、基準価額の値動きが特定のインデックス(指数)と連動するように運用を行なう「インデックスファンド」が注目されています。特に、米国の代表的な企業およそ500社の株式で構成される「S&P500指数」は、同国企業の高い成長性などから、人気を集めています。ただし、中長期でのパフォーマンスに着目すると、S&P500指数と同じく米国株を対象とするインデックスの中でも、同指数を上回る実績を持つものが存在しており、そのうちの一つが「S&P500配当貴族指数(以下、配当貴族指数)」です。
相場下落時に耐性を示してきた、配当貴族指数
配当貴族指数とは、S&P500指数の構成銘柄のうち、25年以上連続で増配している企業の株式で構成される株価指数です。配当貴族指数の構成銘柄は、前年の配当実績をもとに、原則として毎年1月に見直しされます。
配当貴族指数とS&P500指数の長期的なパフォーマンスを見ると、配当貴族指数が相対的に高い実績を有しています【左下グラフ上段】。また、年ごとの騰落率を比較すると、配当貴族指数はS&P500指数が上昇した年には概ね同程度の上昇となったケースが多い一方、S&P500指数が下落した年では相対的に下落が抑制されている、あるいは逆行して上昇しているケースが見られ、両指数の値動きの特徴が異なっていることがわかります【左下グラフ下段】。
連続増配企業が有する強み
配当貴族指数が相場の下落に対し耐性を示してきた背景には、指数を構成する銘柄群の特徴が関係していると考えられます。同指数の構成銘柄は、25年以上も連続で配当を増やし続けている実績を誇るだけに、事業における高いシェアなど、配当の原資となる収益を安定的に成長させる力を備えた企業群と言えます。
株式市場においては、「連続増配による安定的なインカム獲得への期待」にとどまらず、「リーマン・ショックやコロナ禍など、外部環境が大きく悪化した際にも増配を実現できた頑健な収益力」なども、市場環境が不安定になった局面を中心に、連続増配企業へ投資家の注目が集まる要因になっているものと考えられます。
なお、配当貴族指数の業種別構成を見ると、生活必需品や資本財・サービスなどの比率が高く、情報技術などが中心となっているS&P500指数とは異なる特徴を有しています。こうしたことも、両指数の値動きの違いにつながっていると見られます【右グラフ】。
このような特徴などを踏まえ、米国株への投資を検討している方はもちろん、既にS&P500指数を用いたインデックス投資を行なっている方についても、分散投資などの観点から、配当貴族指数に着目してみてはいかがでしょうか。
- (S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社などの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
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