金利低下局面における3つの魅力
インフレ率の鈍化を受け、米FRB(連邦準備制度理事会)は9月に続いて11月のFOMC(連邦公開市場委員会)でも政策金利の引き下げを決定しました。こうした中、金利の低下局面で強みを発揮する「米ドル建て高格付超長期社債(以下、「超長期プライム社債」と言います。)」への注目が高まっています。

<魅力①債券価格の上昇期待>
一般に、債券は金利が上昇する局面では価格が下落(利回りは上昇)し、金利が低下する局面では価格が上昇(利回りは低下)します。通常、残存期間の長い債券ほど利回りが高く、また、金利変動に対して価格が大きく動くことから、米国で利下げ観測が拡がった今夏以降、残存期間が10年を超える「超長期債券」への関心が高まりました。

<魅力②高格付の信用力>
社債には、発行体企業の信用力に応じ、国債利回りに対する上乗せ金利が期待できます。BB格以下の社債はハイ・イールド社債と呼ばれ、デフォルト(債務不履行)リスクが高い分、上乗せ金利が相対的に高くなります。一方、BBB格以上の投資適格社債は、上乗せ金利は低めながら高い信用力が魅力です。中でも「プライム社債」とも呼べるA格以上の米ドル建て社債の発行体は、いずれも米国を代表する大企業などであり、近年の堅調な企業業績を受けて人気を集めています。

<魅力③円高への対抗力>
米ドル建て資産に投資する場合、円安は円ベースの投資成果にプラスとなり、逆に円高はマイナスとなります。米国の金利低下に伴なう日米金利差縮小は円高・米ドル安の要因となるものの、債券投資では、米金利の低下は債券価格の上昇につながるため、円高によるマイナスの影響を軽減する効果が期待されます。

株式との併せ持ちで運用効率を高める
このような性質を持つ超長期プライム社債ですが、債券のリターンは株式に比べて物足りないと思う方もいらっしゃるかもしれません。そこで、米国の株式と超長期プライム社債について、リスク・リターンの水準や、両資産を併せ持った場合の投資成果などについて分析してみます。

2000年以降のデータを振り返ると、超長期プライム社債は金利変動リスクやクレジット(信用)リスクを負う分、米国債と比べて高いリターンをあげたことがわかります。さらに、リスクに対してどれだけリターンが得られたかを示す運用効率については、株式と同程度の水準となりました。(左表)

また、両資産に様々な比率で投資した場合のリスク・リターンおよび運用効率を示した右図表では、全ての投資比率において、単独で各資産に投資するよりも高い運用効率となりました。このように、超長期プライム社債と株式との併せ持ちは、効率的な投資手法の一つであると言えます。

足元では、根強いインフレ圧力などから米国の金利が高止まりするとの見方もあります。しかし、米国経済が減速傾向となる中、いまだに高い政策金利は徐々に引き下げられるとみられ、金利も次第に低下すると予測されます。そうした環境下、超長期プライム社債への注目は続くと考えられます。

【図表】[左図]主要米国資産の資産特性、[右図]米国株式と超長期プライム社債の併せ持ち効果
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