緩和されたプレファンディング規制
2024年11月、ベトナム財務省は、海外の機関投資家が株式を購入する際、「株式の買い注文前の買付代金の預け入れ義務(慣行)」、いわゆる「プレファンディング制度」を緩和しました。これにより、事前に買付代金をベトナムへ送金しなくても買い注文を出せるようになったため、これまで以上に市場参入が容易になり、株式市場への資金の流入が促進されると期待されます。

新興国市場への昇格を目指すベトナム政府
ベトナム政府は、複数の指数算出会社においてフロンティア市場に区分されている自国の株式を、新興国市場へ昇格させることを目指しています。フロンティア市場とは、新興国市場よりもその規模が小さく、未成熟な国々の証券市場を指します。指数算出会社大手のFTSE社でも、現在はベトナムの株式市場をフロンティア市場に区分しています。同社が求める条件を満たして新興国市場に昇格させるためには、プレファンディング規制の緩和が必要だったのです。今回の規制緩和を受け、早ければ2025年3月には同社による選考をクリアし、同年9月には新興国市場へ昇格する可能性が高いと言われています。

新興国市場に昇格し、新興国株式指数の構成国に採用されれば、多くのインデックスファンドなどの投資対象となることが期待されます。また、株式市場のさらなる拡大や流動性の向上など、市場環境の改善が進むと考えられます。一方で、急激な資金流入が起こった場合には、市場の過熱を招く可能性があります。このようなことを防ぐためには、さらなる市場制度の整備や国内投資家の掘り起こしなど投資家基盤の拡大が必要となるかもしれません。

成長ポテンシャルの高いベトナム株式
ベトナムは、高い経済成長が期待される国のひとつです。IMF(国際通貨基金)の見通しでは、実質GDP成長率が2024年、2025年ともに6%超と見込まれています(2024年10月時点)。足元のベトナム株式市場では、ベトナムドン安(対米ドル)基調の中、外国人投資家の売り越し(米ドルベース、左グラフ参照)が続いていますが、有望な企業の新規上場や国内投資家の増加、業績拡大期待などが、株価の上昇に寄与しています。

こうした中で、今回の規制緩和は、ベトナム株式市場の拡大を後押しすると期待されます。

【図表】[左図]ベトナム株式市場における外国人投資家の売買動向、[右図]ベトナム株価指数とEPS(1株当たり利益)の推移
  • 上記は過去のものおよび予想であり、将来の運用成果などを約束するものではありません。