顔ぶれは変わらず。バケットは一部で入替え
世界の金融システムの監視等を行なう国際機関であるFSB(金融安定理事会)は、11月26日、年1度のG-SIBs(Global Systemically Important Banks、ジーシブズ)の見直し結果を公表しました。G-SIBsは「グローバルな金融システム上、重要な銀行」のことで、昨年と同じ29行が選ばれました。G-SIBsはバケットと呼ばれる区分けがされており、バケットが高いほど、金融システム上の重要度が高い銀行となっています。今回の見直しでは、クレディ・アグリコル・グループがバケット1から2へ引き上げられ、バンク・オブ・アメリカがバケット3から2へ引き下げられました。

金融システムの健全性維持のために
FSBは、銀行規制の国際合意に基づき、G-SIBsを選定し、様々な規制などを課しています。2008年のリーマン・ショックを機に世界金融危機へと陥ったことへの反省から、前身の組織を強化・拡大するかたちで設立されたFSBは、G-SIBsを通じて、国際金融市場の安定性を高めることを目指しています。

G-SIBsに選ばれた銀行は、FSBから様々なことを求められています。今回の見直しと合わせて発表されたバケットごとに定められている自己資本に上乗せする比率もその一例です。これは、バーゼル規制(国際的に活動する銀行の自己資本比率や流動性比率等に関する国際統一基準)で定められている自己資本に上乗せが求められる比率です。バケットが高い銀行、すなわち、金融システム上の重要度が高い銀行ほど、その上乗せ比率が高く設定されています。銀行が予期せぬ損失に直面した際に、自己資本を使って損失を吸収し、その影響が金融システム全体へ波及するのを最小限に抑えるためです。

G-SIBsには、自己資本の強化のほかにも、レバレッジ規制やリスク管理、ガバナンスの強化、ストレステストの実施など、追加の規制要件の遵守が求められています。こうした国際的な取り組みが機能し、G-SIBsが高い健全性を維持することにより倒産リスクが低減され、国際金融システムの安定確保につながっています。

【図表】G-SIBsに求められる自己資本の上乗せ比率(2024年11月公表)
  • 各国規制当局によって規制が異なることなどから、最終的な所要自己資本比率は、金融機関毎に異なります。
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