9月と10月に続き、3会合連続で利下げを決定
ECB(欧州中央銀行)は12月12日の政策理事会で、市場予想通り、3会合連続となる0.25ポイントの利下げを決定しました。主要政策金利のうち、市場金利の下限となる「中銀預金金利」は3.0%となりました。また、会合後の声明から、「政策金利を景気抑制的な水準に維持する」との文言を削除し、2025年の追加利下げを示唆しました。

12日のユーロ圏市場では、ユーロが対米ドルで下落しました。国債利回りは、低下する場面もあったものの、インフレへの対応が完全には終わっていないとECBのラガルド総裁が会見で述べたことや、同日発表の米卸売物価指数の上振れなどを受け、引けでは上昇しました。株式相場はまちまちとなったものの、独DAX指数が最高値を更新しました。

サービス価格の伸びは高止まりも、弱まる見通し
ユーロ圏では、消費者物価指数が9月に前年同月比+1.7%と、2021年6月以来、3年3ヵ月ぶりに2%を下回ったほか、食料品、エネルギー、アルコール、タバコを除くコアでも3%を下回るなど、2%の物価目標に向けた改善が見られます。こうした中、焦点となっているのが、賃上げの動きなどを反映し、4%前後で高止まりしているサービス価格の伸びです。ただし、妥結賃金の伸びは4-6月期に2四半期ぶりに鈍化しました。また、ECBは、企業が労働コストの高まりを収益で吸収しており、価格転嫁を通じたインフレ圧力も次第に弱まるとの見方をしています。

景気については、PMI(購買担当者指数)の悪化に見られるように、減速懸念が強まっている状況です。足元では、域内中核国の独・仏で政治的混乱が生じているほか、2025年初めに就任するトランプ次期米大統領の関税政策による貿易への悪影響が懸念される状況です。今回示されたECBスタッフの見通しでは、2026年にかけての経済成長率及び2025年にかけての消費者物価指数の見通しが下方修正されました。

金融市場では、来秋の政策金利を1.75%と予想
ECBは、今後の利下げはデータ次第だとして、会合ごとに判断していく意向を示しているものの、一部報道では、向こう2会合で0.25ポイントずつの利下げの可能性があるとされています。また、金融市場では、中銀預金金利が2025年秋には1.75%に引き下げられると想定されています。

【図表】[上図]向こう半年の政策理事会の予定、[下図]ECBスタッフの経済見通し(12月時点)
【図表】[左図]金利・為替の推移、[中央図]物価・賃金(前年比)の推移、[右図]PMIの推移
  • ECBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。