3会合連続となる利下げを決定
米FRB(連邦準備制度理事会)は、12月17~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、3会合連続となる利下げを決定し、政策金利(FFレートの誘導目標)を4.25~4.50%としました。今回の決定は、市場予想通りでした。
ただし、会合参加者の2025年以降の政策金利の見通しが上方修正されたほか、パウエルFRB議長も会見で、更なる追加利下げについて、より慎重になる必要があると述べました。
18日の米国市場では、国債利回りが上昇し、10年債では一時、4.52%台と、5月末以来の高水準となり、株式相場は大きく下落しました。また、外国為替市場では米ドルが買われ、ドル・インデックスが一時、2022年11月以来の高値をつけた一方、円相場は1米ドル=154円台後半に下落しました。
インフレ改善に進展、経済活動は堅調
米国のインフレ率は、モノの分野では沈静化し、サービス分野でも鈍化傾向となっています。今回のFOMCの声明文では、インフレ率について、「幾分、高止まり」としながらも、「2%の物価目標に向けて進展した」との評価が維持されました。
また、労働市場は年初来、概ね緩和しているものの、失業率が上昇したとはいえ、依然、低いとして、経済活動は堅調なペースで拡大していると評価されています。なお、パウエル議長は労働市場について、多くの指標がコロナ禍前と比べて緩んでおり、重要なインフレ要因ではないと述べました。
物価見通しを引き上げ、金利見通しも上方修正
今回の会合参加者の見通しは、下表の通りです。2025年の利下げについては、1回あたり0.25ポイントとの前提で、前回見通しの4回から2回へと半減しました。パウエル議長は今回、一部の参加者がトランプ次期政権の関税政策の影響を織り込み始めたと述べました。
金融政策の行方を巡っては、今後も、サービス分野を中心としたインフレ率のほか、労働需給や賃金上昇率、長期金利の水準など、幅広いデータが注目されます。加えて、トランプ氏が掲げてきた、関税引き上げや減税、不法移民の大規模強制送還など、次期政権の諸政策の行方やその影響度合いも注視する必要があります。
- 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。