債券とは、国や政府機関、国際機関、事業会社などが資金を調達するために発行する証券です。発行者にとっては資金調達の手段ですが、投資家にとっては、利子(インカムゲイン)や売買差益(キャピタルゲイン)の獲得を目的とした投資商品となります。

市場金利の動きで変動する債券価格
定期的に利子が支払われる利付債の場合、市場金利が動いても、元本に対する利子率(クーポン)は変化しません。そのため、発行後に市場金利が動いた場合、市場での債券価格が変化することがあります。

「金利が上昇すると債券価格は下落」
「金利が低下すると債券価格は上昇」

市場金利が上昇した場合、新しく発行される債券のクーポンは市場金利に応じて高くなるので、クーポンが相対的に低い既発債(既に発行された債券)の魅力が低下することで債券価格は下落する傾向となります。逆に、市場金利が低下した場合、新しく発行される債券のクーポンは低いものとなるので、既発債の魅力は高まり、債券価格は上昇する傾向となります。

下に示した架空の債券A・Bの発行体は同じですが、既発債である債券Bは、発行時の市場金利が2%であったものの、その後、市場金利が5%に上昇したため、債券価格は65.50に下がっている状況を示しています。

【図表】債券の例(架空の債券)

債券投資における収益
これまで、債券Bの債券価格が下落した要因について説明しましたが、債券A・Bの発行体は同じで、残存期間もあまり変わらないので、債券A・Bに優劣はほぼないと言えます。また、一般に市場では、裁定(割安なものが買われ、割高なものが売られることで、両者が等価に近づく作用)が働きます。債券Bの価格が下がった結果、債券を満期まで保有した場合の投資収益である「最終利回り」が両債券ともほぼ同じ水準となっており、このことからも優劣がないことが分かります。

債券投資の値動きとリスク
つまり、現時点で債券A・Bどちらに満期まで投資しても、投資期間は別にして、同水準の投資収益が期待されます。ただし、投資期間中の評価額の推移は、両債券で異なると想定されます。

下のイメージ図にあるように、投資期間中、両債券とも市場金利の動きに応じて債券価格が同じ方向に変動しますが、償還価格に向けて上昇する動きを内包する債券Bの値動きは、債券Aに比べて緩やかになる傾向があると考えられます。

このように、満期まで継続保有する運用手法を採った場合でも、投資期間中の値動きには差が出ますので、投資において不安な状況を少なくしたいと考える場合、債券Bのように額面を下回る価格となっている債券への投資が、心理的に優位となり得るとも言えます。

なお、債券投資のリスクには、この他に、利子の支払いが行なわれないリスク、満期時に償還が行なわれないリスクがなどがあります。また、外国通貨で発行された債券に投資した場合、為替変動リスクがあります。こうしたリスクへの配慮や、銘柄選択などを考慮すると、投資にあたっては、投資信託など専門家の力を利用することも有効です。

【図表】債券の値動きのイメージ
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
    上記はシミュレーションであり、将来を約束するものではありません。