2024年の金融市場では、主要国の金融政策の動向や地政学リスクの高まりなどに影響されながらも、株式や海外資産の年間パフォーマンスが堅調となりました。
先進国株式市場は、年央にかけ、好調な企業業績のほか、米国景気の底堅さを示す経済指標の発表などを受け上昇しました。その後、8月初旬にかけて軟調な経済指標の発表が相次ぎ、米景気後退懸念が台頭したことや、テクノロジー関連企業の冴えない決算などを受けて大幅に下落する局面もありましたが、11月の米大統領選の結果を受け、トランプ次期大統領の経済政策への期待が高まったことなどから上昇し、年間では、2年連続で30%を超える上昇となりました。
米FRB(連邦準備制度理事会)は、インフレや雇用情勢の軟化などを背景に9月に4年半ぶりの利下げに踏み切ると、以降3会合連続で利下げを実施し、年初5.25~5.50%だった政策金利の誘導目標を4.25~4.50%まで引き下げました。ただし、12月のFOMC(連邦公開市場委員会)では想定以上にタカ派寄りのスタンスが示されたため、米長期金利が年末にかけ上昇したことは、先進国債券やグローバルREITの重石となりました。
海外資産については、円安が円ベースのパフォーマンスを大きく押し上げました。為替は、年初から7月半ばにかけ円安基調となりましたが、米利下げ観測の強まりなどに伴ない、9月半ばにかけては円高に転じました。その後、米大統領選の結果を受けたインフレ再燃リスクの高まりや、FRBがタカ派的姿勢を示す一方で、日本では日銀が追加利上げを見送ったことなどから、日米金利差が拡大し、年末にかけ再び円安が進行しました。
国内資産については、主要株価指数が7月に史上最高値を更新した後、同月末の日銀の利上げなどを受け過去最大の下げ幅を記録するなど大波乱となりましたが、その後はもみ合いながらも底堅く推移し、年間では大きく上昇して終えました。一方で、国内金利の上昇により、債券やREITは下落しました。
なお、過去の主要資産の年間パフォーマンスを振り返ると、パフォーマンスの良い資産は一定ではなく、また、各資産の騰落には法則性もみられません。こうしたことから、中長期において運用成果を向上させるためには、好パフォーマンスをあげる資産を当てることに重きを置くのではなく、個人のリスク許容度に合わせて、国内外の幅広い資産に分散投資を行なうことが重要といえそうです。
- 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
- (信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)