金価格は昨春以降、力強い推移が続いており、投資対象としての金への注目が高まっています。
ここまで、中東情勢を巡る懸念を背景にリスク回避手段として買われたことや、米利下げ観測の強まりに伴なう見直し買いの動きが相場を支えたほか、テクノロジー需要においては、急速に普及するAI(人工知能)に不可欠な高性能半導体向けが大きな伸びを示しました。

2025年も、金価格は強含む展開が見込まれる
実物資産としての強みと米ドルの代替資産としての一面を持つ金は、主に、宝飾品としての実需が需要の約半分を占めるほか、投資家のリスク回避時などにも選好されてきました。また、金利がつかないことから、利下げ局面でも金は買われる傾向にあります。

2022年以降は、中央銀行の外貨準備としての需要の高まりや世界的な個人の金投資ブームに加え、地政学リスクの高まり、米利下げ観測などが、金価格を押し上げました。今後については、米トランプ政権2期目の政策の不透明感などを背景としたリスク回避需要に加え、金価格が高水準で推移する間、買いを一時控えていた中国の中央銀行が、2024年11月以降の金相場の上昇一服を受けて購入を再開する動きもあり、金相場は堅調な地合いが続くと見込まれます。

分散投資先としても有効な資産
こうしたなか、改めて押さえたいのが分散投資手段としての金の有効性です。金の値動きは元来、株式や債券とは異なる傾向にあるほか、米ドルの値動きとは逆になる傾向にあり、分散投資に有効とされます。相関係数を見ても、先進国株式と金は0.10と、連動性の低さが示されています。

【図表】分散投資先としても有効な資産

金をあわせ持つことで期待される運用効率改善
こうした特性を踏まえ、先進国株式と金を組み合わせた場合の円換算ベースのリスク・リターンを見ると(グラフ右下)、直近10年では、両資産をあわせ持つことで、リターンを大きく損なうことなくリスク低減につながったことが確認できます。投資時期や期間によっても傾向は異なりますが、数々の難局に見舞われた2001年以降では、リスクを抑制させながらリターンの改善が図れており、どちらの期間でも運用効率が改善される結果となりました。

足元の金融市場では、先行き不透明感が強く、一時的に株価などの価格変動性が高まる、不安定な展開になりやすいとみられます。そのため、ポートフォリオの補完的位置づけとして、金を資産運用に活用することは有効と考えられます。

【図表】[左図]金価格と主要指標の推移(米ドルベース)、[右図]先進国株式と金を組み合わせた場合のリスク・リターン(円換算ベース)
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