2024年のグローバルREITは、主要国の金融政策の行方が注視される中、年間で+2.8%と小幅の上昇にとどまりました。

2024年のグローバルREIT市場の動き
グローバルREITは、2024年初旬に米ハイテク企業を中心に株式相場が堅調となる中、REITの決算が概ね堅調だったことが支援材料となりました。しかし、各種経済指標から景気の底堅さが確認されると利下げ観測が後退し、年央にかけて上値の重い展開となりました。8月初旬には米景気後退懸念などから世界的に株安となる場面があったものの、米欧でインフレ鈍化の継続が確認されると再び米利下げ期待が高まり、9月には米FRB(連邦準備制度理事会)が0.5ポイントの大幅利下げを決定しました。加えて、中国政府による景気刺激策等が発表されたことなども後押しとなり、グローバルREITは堅調に推移しました。しかし、それ以降は中東情勢の緊迫化に加え、11月の米大統領選挙でトランプ氏が再選し、次期政権の政策を巡る思惑に左右されたことや、FRB議長が翌年の利下げ回数減少を示唆したことなどから世界的に長期金利が上昇し、グローバルREITは、年末にかけて相場の上げ幅を縮め、年間では小幅の上昇となりました。

金利の動向とREIT価格の関係
各国の金融政策をみると、3月に日銀がマイナス金利を解除し、約17年ぶりに利上げを決定しました。また、6月にはECB(欧州中央銀行)が4年9ヵ月ぶり、9月に米FRBが4年半ぶりに利下げを実施するなど、2024年は多くの主要先進国・地域で金融政策の転換期となりました。

金利上昇は、一般的に、REITの資金借り入れコストの上昇とそれに伴なう財務悪化リスク、利回り格差の縮小によるREITの利回り面での魅力低下などから、短期的にはREIT価格の下落につながる傾向にあります。

世界的にインフレ率は2022年をピークに高止まりし、長期金利の上昇が続きました。しかし、2024年の半ば頃には米欧を中心にインフレ指標の鈍化がみられ、米国で利下げ期待が高まると、それに伴ない長期金利も低下基調となり、REIT相場が株式を上回って上昇する場面もありました。

2025年のREIT市場の着目点
米政策動向や欧州の政治不安など不確実性が高まっていることには注視が必要です。一方で、REITのセクターをみると、2024年は生成AI(人工知能)需要の拡大期待などを背景にデータセンターが、また、高齢化に伴なう介護施設の需要拡大を背景にヘルスケアが好調となり、当面この傾向は続くと見込まれます。加えてREITの分配金利回りは、株式や債券と比べて相対的に高い傾向にあることから、日本を除く主要国・地域で利下げの動きが続く見通しの中、REITの投資妙味は再び高まると考えられます。

【図表】[左図]REIT、株式、米10年国債利回りの推移、[右上図]REIT、株式の月次騰落率比較、[右下図]各資産の利回り比較
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