日本では見過ごされがちな、アセアン地域・同主要国の経済の現状をお伝えします。

株式市場:アセアン株式相場はまちまち
25年1月のアセアン地域の株式相場は、まちまちとなりました。フィリピンでは、24年12月の消費者物価指数の伸び率が前月から加速したことなどを受け、追加利下げの動きが減速するとの懸念が拡がる中、株式相場は軟調となりました。マレーシアでは、中国企業による低コストの生成AI(人工知能)開発に関する報道を受け、世界的にAI関連株が売られる中、データセンター関連の銘柄などへの売り圧力が強まりました。

一方、シンガポール株式は上昇しました。月半ば以降の米長期金利の低下などを背景に、投資家心理が改善し、株式への買いの動きが強まりました。なお、同国では24日、景気減速懸念などを背景に、約5年ぶりとなる金融緩和が実施されました。インドネシアでは、通貨の安定などを目的として、政府が天然資源の輸出業者に対し、輸出収益を1年間国内銀行に保管することを義務付ける方針を明らかにしたことなどを受け、エネルギーや金融関連銘柄が上昇しました。

ここからは、アセアン地域で1月に発表された経済指標や出来事などを中心に、ご紹介します。

インドネシア:4ヵ月ぶりの利下げ実施
インドネシア銀行(中央銀行)は15日、経済成長を促す目的から、政策金利を0.25ポイント引き下げ、5.75%にすると発表したほか、次回会合以降での追加利下げの可能性についても示唆しました。また、2月5日に発表された24年のGDP成長率は、10-12月期が前年同期比+5.02%と前期から加速、通年は前年比+5.03%と前年から減速したものの、いずれも市場予想を上回りました。

マレーシア:24年の経済成長率は+5.1%
17日に発表されたマレーシアの24年のGDP成長率は、10-12月期が前年同期比+4.8%と前期から減速した一方、通年では前年比+5.1%と前年から加速しました。力強い内需のほか、デジタルインフラへの投資などが寄与しました。

このほか、24年通年の実質GDP成長率について、シンガポールは前年比+4.0%、フィリピンは同+5.6%、ベトナムは同+7.09%となりました。また、タイの24年のGDP統計は2月17日に発表が予定されています。

【図表】アセアン地域・同主要国の株価指数と為替(対円)の推移(左)および直近1ヵ月の騰落率(右)
  • 上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。