先ごろ、総務省から発表された2024年12月の消費者物価指数は、総合指数が3.6%の上昇(前年同月比)となり、価格変動が大きい生鮮食品とエネルギーを除いた指数も2.4%の上昇(同)となりました。一時は9%程度まで上昇した米国とは水準が異なりますが、日本でもインフレ(物価上昇)傾向が顕著となりつつあります。

この先も、インフレが続いた場合、お金の価値は減少することになり、預貯金といった資産に代わる運用先を検討する必要もあります。そこで、どのような資産が有効なのかを考えてみます。

インフレに強いとされる株式や不動産
投資資産の中でも、一般的に、株式はインフレに強い資産といわれます。その理由として、物価上昇によるコスト増を製品やサービスなどの販売価格へ転嫁することにより業績を向上させれば、これを受けて当該企業の株価上昇が期待されることなどが挙げられます。

また、不動産といった現物資産もインフレに強いといわれています。一般的にインフレ下では、不動産の価格や賃料(家賃)も上昇する傾向があり、不動産も有効な投資資産となり得ます。

しかしながら、すべての企業が販売価格を引き上げられるわけではなく、逆に仕入れ価格の上昇や人件費の高騰などにより業績を悪化させる企業もあります。また不動産物件も上昇するとは限りません。こうしたことから、投資に際しては銘柄ごとの見極めや分散が重要となりますので、投資信託などを活用することも有効と考えられます。

高インフレは米国株式の上昇の一因
2020年初から2022年半ばにかけてインフレが高進した米国では、米FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を引き上げ、インフレの鎮静化を図りました。足元ではインフレが抑制されつつあることから、政策金利は引き下げに転換されましたが、依然として高い水準にあります。

日米の株価推移を見ると、米国株式は、政策金利の引き上げなどを受けて軟調となる局面もありましたが、2020年以降、上昇傾向となり(左グラフ)、日本を上回っていることが分かります。ただ、物価の影響を除いた株価の推移(右グラフ)を見ると、日米の株価に左グラフほどの大きな差はなく、米国株の上昇要因の一つに高インフレの影響があったことがうかがえます。

このようなことから、今後、日本でインフレが続くと考えるならば、資産運用において、インフレに強いとされる株式や不動産などを加えることも、一考の価値ありと思われます。

【図表】日米の主要株価指数の推移(2017年12月~2024年12月、月末値)
  • 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成