近年、日本では、世界の株式市場の動きを捉える指数として知られる「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(以下、ACWI)」との連動をめざした運用を行なう投資信託に人気が集まっています。今回、注目が高まるACWIを通して、世界株式市場の一端をご紹介いたします。
はじめに、ACWIの概要をご紹介
ACWIとは、米MSCI社が算出する時価総額加重型の株価指数です。先進国および新興国の株式市場に上場する2,647の銘柄によって構成されており、世界の株式時価総額の約85%をカバーしています(2025年1月末現在)。
ACWIの構成国は、MSCI社が各国の経済の発展度合いや株式市場の流動性などを考慮し、基本的に毎年見直しを行ないます。また、構成銘柄についても、株式の流動性や時価総額などの面で基準が設けられており、四半期(2、5、8、11月)毎に見直しが行なわれます。なお、今月(2月28日の取引終了後)予定されている見直しでは、ACWI全体で、新たに23銘柄が追加される一方、107銘柄が除外されることが発表されました。
2年連続で上昇~ACWIで見る世界株式~
ACWI(税引後配当込み、米ドルベース)の2024年の年間騰落率は+17.5%と、前年の+22.2%には劣るものの、2年連続で大きく上昇しました。また、2025年1月の月間騰落率は+3.4%となりました。
2024年以降の世界株式の動向をACWIの値動きに基づいて振り返ると、年初から3月にかけて、欧米での好調な企業業績や世界的な生成AI関連需要の拡大期待などを背景に上昇しました。4月は、中東情勢の緊迫化や米利下げ先送り観測の強まりなどを背景に一時調整したものの、その後は米長期金利の上昇一服などが好感され、再び上昇しました。7月前半も、米国における利下げ観測の強まりを背景に上昇しましたが、同月後半から8月上旬にかけては、景気失速懸念などを背景に下落しました。しかしその後、経済指標が米景気の底堅さを示したことや米政策金利が引き下げられたことなどから、9月末にかけて概ね上昇傾向となりました。その後は、米国での堅調な景気や大統領選挙でのトランプ氏勝利を受けた減税・規制緩和への期待を支えに、世界株式は上昇基調で推移しました。しかし12月後半は、米国における、次期政権による政策の不透明感や金利上昇などを背景として年末にかけて上げ幅を縮小しました。2025年は、米欧で利下げペース鈍化の懸念が後退したことなどを背景に、1月は前月末比で上昇しました。
ACWIなどの株価指数は、対象とする株式市場全体の値動きなどを知る手掛かりとなります。世界株式の場合、個別の国々の株式市場を確認しなくても、ACWIの動向を確認するだけでも概略を掴むことができます。資産運用を検討される際の、ご参考にしてみてはいかがでしょうか。

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