市場予想通り、政策金利の据え置きを決定
日本銀行(日銀)は3月18~19日に開催した金融政策決定会合で、市場予想通り、政策金利(無担保コール翌日物金利の誘導目標)を0.5%程度で据え置くことを決定しました。

日銀は、景気の現状について、一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復しているとの判断を維持したほか、消費者物価(除く生鮮食品)についても、展望レポートの見通し期間(24~26年度)の後半には物価安定目標の2%と概ね整合的な水準で推移するとの見方を再確認しました。その一方、リスク要因として、新たに「各国の通商政策等の動きやその影響」を掲げ、トランプ米政権の関税政策や各国の対抗措置の影響を注視する構えを示しました。

19日の市場では、同日夜に米FRB(連邦準備制度理事会)の政策決定会合の結果発表を控え、様子見ムードが強い中、国債利回りは小幅に上昇、株式市場では主要指数が上下マチマチ、円相場は一時、1米ドル=150円台に下落したものの、概ね149円台で推移しました。

物価・賃金はやや強め、海外の不確実性を警戒
日銀の植田総裁は会見で、実質金利は極めて低いとして、今後も、経済・物価の見通しが実現していけば、政策金利を引き上げていくと改めて述べました。

なお、物価については、コメを含む食料品などの価格上昇が家計のマインドや予想物価上昇率の変化を通じて基調的な物価上昇率に波及する可能性があるとの認識を示しました。また、春闘の第1回回答の集計結果で賃上げ率が平均5.46%と、34年ぶりの高水準となったことを受け、賃上げについては、想定の中でもやや強めと評価しました。

各国の通商政策等の動きやその影響については、米政権が4月2日に発動を予定している相互関税を念頭に、同月初旬には一定の姿が出てくるのではないかとして、次回の会合や展望レポートの中である程度消化できるとの見方を示しました。

半年に1回の利上げとの見方が有力
金融市場では、利上げは半年に1回という見方が以前から有力で、今回の会合後も、大きな変化は見られません。次回の利上げは6月ないし7月、その次は12月との見方が強くなっています。

【図表】[左図]金利と円相場の推移、[中央図]物価上昇率(前年比)の推移、[右図]賃金(前年比)と消費の推移
【図表】[上図]年内の金融政策決定会合の予定(下段:主な意見の公表日)、[下図]25年1月の展望レポートの見通し(中央値)
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。