2024年12月末時点の家計の金融資産は、日本で約2,230兆円、米国では約128.9兆米ドルと、日本では2四半期ぶり、米国では4四半期連続で、過去最高を更新しました。ただし、それぞれを2000年末の規模と比較(中央グラフ)すると、日本では約1.6倍なのに対し、米国では約3.7倍と、拡大ペースに大きな違いが見られます。

長期で見た場合に、米国の家計金融資産の伸びが相対的に高い主な理由として、多くの人が資産形成に積極的で、運用成果を享受していることが挙げられます。同国では、家計金融資産に占める株式・投資信託(投信)の構成比が5割を超えているほか、保険・年金においても、確定拠出年金制度を通じて投信が積極的に活用されています。

一方、日本の場合、家計の金融資産の半分以上を現金・預金が占め、株式・投信は19%強にすぎないため、運用の効果は限定的となりがちです。ただし、コロナ・ショック直後の2020年4-6月期以降、家計は19四半期(4年9ヵ月)連続で投信を買い越しており、その額は29.2兆円に及びます。また、2024年1月に新NISA(少額投資非課税制度)が始まったこともあり、同年の投信への資金流入額(日銀の資金循環統計ベース)は11.56兆円と、2007年の12.92兆円以来の高水準となりました。

なお、投資にはもちろんリスクがつきもので、運用成果は市況などにより変動します。ただし、一般に、投資対象を分散することにより、リスクは低減し、さらに長期投資によって運用成果が安定化するとされています。また、国内資産に限らず、海外資産にも分散して投資を行なえば、世界経済の成長の果実を得やすくなると考えられます。

このように、海外資産も活用し、リスクを抑えながら行なう長期投資の一例が、右下のグラフの赤い線です。この例では、2000年末に内外の主要6資産に等金額投資を行なった結果、足元の評価額は約4.8倍に膨らんでいます。こうしたシミュレーションや家計のリスク許容度を踏まえ、現金・預金を積み上げるのではなく、「おカネ」を投資に振り向け、働いてもらうことを検討してはいかがでしょうか。

【図表】[左グラフ]日米の家計金融資産の構成比(2024年12月末時点、%)、[中央グラフ]日米の家計金融資産の推移(2000年末~2024年12月末、四半期ベース)、[右グラフ]長期分散投資のシミュレーション(2000年12月末~2025年2月末)
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