3月の株式市場では、上旬から中旬にかけて米トランプ政権による関税政策の不透明感が強まったことなどから、米国を中心に株価が下落基調となりました。一方、中国では全人代(全国人民代表大会、国会に相当)が開かれ、財政支出の拡大方針が示されたことや、その後、政府が消費促進に向けた措置を発表したことなどを受けて、中国本土や香港の株価は上昇しました。欧州では中旬に、ドイツで財政拡張への方針転換の可能性が強まったことなどを背景に株価が反発しました。ただし、下旬には、米国で自動車関税の発表に続き、景気の先行きやインフレ再燃への懸念が台頭し、世界的に株価が下落しました。

引き続き米関税政策を巡る動向には注視が必要
米国では、トランプ大統領就任以降、次々と関税政策が打ち出されており、それに対して貿易相手国も報復関税措置を発表するなど、緊張した状態が続いています。3月下旬にはトランプ氏が、輸入自動車への追加関税を4月3日に発効することを発表し、市場には動揺が拡がりました。自動車の主要輸出国が米国である日本にとっては、自動車関税の影響が懸念されます。また、同氏は、関税負担を相手国と対等にする相互関税についても4月に発表するとしており、米国ならびに貿易相手国の動向が注視されます。

ユーロ圏、政策金利の行方はデータ次第
4月17日には、ECB(欧州中央銀行)政策理事会が開催されます。3月の理事会では、5会合連続で利下げが決定されたものの、ECB総裁は会見で、データ次第では利下げを一時停止する、と言及しました。ただし、米関税政策の不透明感が強まる中、米国との全面的な貿易戦争が起こればユーロ圏経済は大打撃を受け、インフレが急上昇する可能性もある、との懸念を示し、ユーロ圏の成長減速を危惧しました。ECB当局者からは、インフレの鈍化に加え、賃金の緩やかな伸びなどを背景に、現時点では、4月に利下げを行なう可能性は高まっているとの見方が示されており、理事会の判断に関心が寄せられています。

米国、日本の企業決算発表が始まる
4月中旬以降、日米企業の決算発表が本格的に始まります。米国では、前期決算において軒並み利益が倍増となったものの、今期はトランプ政権下での影響が懸念される大手金融機関の決算内容が注目されます。また、日本では、業績予想の上方修正が相次いでおり、翌期への期待が高まっています。しかし、足元では米関税政策の行方が不透明なことなどから、各企業の決算見通しに注目が集まります。

【図表】4月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。