4月は、月初に米国のトランプ大統領が貿易相手国に対する相互関税の導入を発表したことなどをきっかけに、市場で投資家のリスク回避の動きが強まり、株式相場は世界的に大きく下落しました。しかし、中旬以降は、同大統領が相互関税の上乗せ分について、90日間停止すると発表したことなどから貿易摩擦への懸念が後退したほか、米利下げ観測が拡がったこともあり、株式相場は月末にかけて回復基調となりました。

米関税政策を巡る動向に引き続き注目
米国の関税政策を巡っては、各国が関税の引き下げや撤回に向けて交渉に動いており、一部については進展があったと伝わっています。ただし、依然として不透明感の払しょくには至っていません。また、米国と中国の間では報復関税を課し合う応酬が行なわれるなど、両国の関係悪化が引き続き懸念されているほか、中国が貿易相手国に対し、中国の利益が犠牲となるような、米国寄りの対応をしないようけん制するなど、各国は交渉に当たって難しい舵取りを迫られています。各国が米国の対中包囲網への協力姿勢を示せば、中国がそれらの国々に対して報復措置をとるなど、貿易摩擦がエスカレートする可能性もあります。一方で、米国がここにきて中国に歩み寄りの姿勢も見せつつあり、状況の改善につながるかが注目されます。

先行き不透明感が強まる米金融政策の行方
6日から7日にかけては、米国でFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されます。4月には、トランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)に対して利下げを迫ったことや、早期利下げに慎重な見方を示しているパウエルFRB議長の解任を示唆したことなどを受け、FRBの独立性が損なわれるとの懸念が高まり、株式、債券、米ドルが揃って大きく売られる事態となりました。その後、トランプ大統領が「パウエル議長の解任を求めてはいない」と発言したことなどからこうした懸念は和らいだものの、引き続き利下げを求める姿勢は崩していません。こうしたこともあり、米金融政策を巡っては、FOMCや各種経済指標の内容に加えて、トランプ大統領のFRBに対する発言にも関心が集まります。

山場を迎える日米主要企業の決算発表
4月後半以降、日米企業の決算発表が本格化しており、5月に山場を迎えます。米関税政策の影響などもあり、足元で企業業績に対する不確実性が高まっており、一部の企業やアナリストの間では、今後の業績見通しを下方修正する動きも見られます。こうした中、関税の影響に関する企業ガイダンスや、米国市場の成長をけん引してきた大手ハイテク企業の今後の設備投資に対するスタンスなどが注目されます。

【図表】5月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • (信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成)
  • スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。