市場予想通り、2会合連続で金利を据え置き
日本銀行(日銀)は4月30日・5月1日に開催した金融政策決定会合で、市場予想通り、政策金利(無担保コール翌日物金利の誘導目標)を0.5%程度で据え置くことを決定しました。
ただし、各国の通商政策等の影響を受け、海外経済が減速し、日本の企業収益なども下押しされるとして、展望レポートでは、2025、26年度の経済成長率および物価の見通しを下方修正しました。これに伴ない、消費者物価(除く生鮮食品)が物価安定目標の2%と概ね整合的な水準で推移するのは、27年度にかけての見通し期間の後半になるとして、目標到達の時期が後ずれすることとなりました。また、経済・物価のいずれの見通しにおいても、下振れリスクの方が大きいとしました。
5月1日の市場では、利上げ観測が後退し、国債利回りが低下したほか、円相場は1米ドル=144円台に下落しました。株式相場は、前日の米株高や円安などが好感され、続伸しました。なお、円相場は、ニューヨーク市場で145円台へ続落しました。
不確実性が極めて高い、物価・賃金は伸び悩み
日銀の植田総裁は会見で、経済・物価の見通しが実現していけば、政策金利を引き上げると改めて述べました。ただし、各国の通商政策の展開や影響を巡る不確実性が極めて高いとした上で、経済・物価や金融市場の動向を予断を持たずに点検し、適切に判断する、と強調しました。
各国の通商政策の見極めについては、断定しにくい状態が続くとしながらも、米政権が、相互関税の上乗せ部分の停止期間中(7月上旬までの90日間)に通商交渉を終わらせる意向を示していることが、一つのポイントになると述べました。
また、物価や賃金については、やや下振れ、ないしは、伸び悩みの状態に入っていくとしました。ただし、その間も、深刻な労働者不足が続いていることなどから、賃金と価格が互いに相手を上昇させるという意味での好循環は継続していくとの見方を示しました。
年内は利上げ見送りとの見方が有力
金融市場では、年内は利上げが見送られるとの見方が有力となっています。ただし、極めて高い不確実性の下、状況次第で利上げタイミングが大きく前後する可能性があることには注意が必要です。
![【図表】[左図]金利と円相場の推移(2019年1月4日~2025年5月1日)、[中央図]物価上昇率(前年比)の推移(2019年1月~2025年3月)、[右図]賃金(前年比)と消費の推移(2019年1月~2025年2月)](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-2093_01.jpg)
![【図表】[上図]年内の金融政策決定会合の予定(下段:主な意見の公表日)、[下図]25年4月の展望レポートの見通し(中央値)](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-2093_02.jpg)
- 日銀、総務省、厚生労働省などの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。