3会合連続で政策金利を据え置き
米FRB(連邦準備制度理事会)は、5月6・7日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想通り、政策金利(FFレートの誘導目標)を4.25~4.50%で据え置くことを決定しました。

7日の米金融市場では、FOMCが無難に終わり、安心感が拡がったほか、10・11日に予定されている米中の閣僚級貿易協議への期待や、バイデン前政権が打ち出したAI(人工知能)向け半導体の輸出規制を、トランプ政権が撤回する方針との報道などもあり、株式相場が反発しました。また、国債利回りは、米景気の先行き不透明感などを背景に低下、一方、米ドルは、FOMCで利下げを急がない姿勢が示されたことなどを受けて買われ、円相場が1米ドル=143円台に下落しました。

物価には上振れ、経済成長には下振れのリスク
FOMCは声明で、純輸出の振れがデータに影響を及ぼしたものの、最近の指標は経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している、としました。ただし、(米関税政策の影響などから、)経済見通しを巡る不確実性が一段と高まったとして、失業の増加とインフレ率上昇のリスクの高まりを指摘しました。

パウエルFRB議長は会見で、経済は依然、堅調、インフレ率は目標をやや上回っているものの、大幅に鈍化しているとして、現在の金融政策のスタンスは、潜在的な経済動向の変化に対してタイムリーに対応できる良い位置にあるとの見解を示しました。一方、米国の大幅な関税引き上げが維持されれば、インフレの加速と経済成長の減速、そして、失業の増加をもたらす可能性が高いと指摘しました。そして、さらなるデータを目にするまで、どのような対応が正しいのか判断がつかないとして、現在は予防的に金融政策を動かせる状況にないとしました。

金融市場では、年内に3回の利下げを想定
次回のFOMCは6月中旬の開催予定で、米相互関税の上乗せ部分の一時停止措置が終了する7月上旬より前です。米金融市場では、6月の利下げの可能性は20%程度と、低位となっています。ただし、年末までには0.25ポイントの利下げが3回という見方が依然として優勢です。

【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移(2005年1月~2025年5月)、[右図]米労働市場の主要指標の推移(2019年1月~2025年4月)
【図表】[上図]年内のFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、[下図]25年3月のFOMC参加者の見通し(中央値)
  • 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。