近年、NISA(少額投資非課税制度)の拡充などが追い風となり、「高配当株式」への関心が高まっています。

利回りの高さだけではない高配当株式の魅力
相対的に高い配当利回りが高配当株式の主な魅力として知られていますが、株式相場の下落局面で一定の抵抗力が期待される点も特徴として挙げられます。これは、魅力的な水準の配当金支払いのため、安定した収益力や強固な財務基盤を持つ優良企業が多いことや、配当目的の買いの動きが一定程度あり、株価を下支えするためと考えられます。

なお、配当利回りは「一株当たり配当金÷株価」で計算されることから、株価が低い場合も配当利回りが高くなります。このため、個別銘柄に投資する場合は、配当の水準や安定性だけでなく、株価上昇を妨げるような悪材料がないかなども、しっかりと確認する必要があります。

金との併せ持ちで運用効率が向上
高配当株式は単体でも魅力的な投資対象だと考えられますが、他の資産に分散投資することで、リスクの軽減だけでなく、リターンやリスク対比でみた運用効率の向上などが期待できる場合もあります。ここでは、世界の高配当株式と代表的な金融資産を併せ持ちした場合のシミュレーションをみてみましょう(下グラフ)。例えば、高配当株式と金を半分ずつ併せ持ち(赤菱形)した場合、高配当株式単独(青丸)よりもリターンの向上とリスクの軽減がみられ、運用効率が高まりました。金は株式相場と異なる値動きをする傾向があり、一般に、株式との併せ持ちでリスクを軽減させるとされます。このほか、先進国REITとの併せ持ち(緑菱形)では、わずかにリスクが上昇したものの、リターンがより高まる結果となりました。一方、世界国債との併せ持ち(紫菱形)では、リターン、リスクともに大きく低下しました。このように、併せ持つ資産によって、ポートフォリオ全体のリターンやリスクが大きく変わります。なお、この結果は、2000年以降の指数データに基づくシミュレーションであり、今後も同様の結果になるとは限らない点には注意が必要です。

投資信託を用いた「ポートフォリオのDIY」
個別の株式や金などに直接投資するには、まとまった資金が必要となるため、複数の資産を併せ持ちする投資手法は、多くの方にとって難しいと思われます。しかし、少ない資金から投資することができる投資信託を用いれば、比較的容易です。異なる性質の資産を組み合わせる「ポートフォリオのDIY」は、投資信託の楽しみ方の一つと言えるかもしれません。組み合わせに正解はなく、投資目的やリスク許容度によって、無数の組み合わせが存在します。投資環境の不確実性が高まる中、リスク軽減やリターンの向上など様々な観点から、「ポートフォリオのDIY」を楽しんでみてはいかがでしょうか。なお、楽読(ラクヨミ)では、経済の理解や投資に役立つ様々なテーマをご紹介しています。例えば、併せ持ちの一例としてご紹介した金に関する内容などもリリースしておりますので、併せてご参照いただければ幸いです。

【図表】併せ持ちによってリスク・リターンは大きく変わる
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 併せ持ちした各ポートフォリオは、いずれも、各資産を50%ずつとし、月次リバランス
  • リターン:月次リターンの平均を年率換算、リスク:月次リターンの標準偏差を年率換算、運用効率:リターン÷リスク
  • 高配当株式はMSCIワールド高配当利回り指数(配当込み)、先進国REITはS&P先進国REIT指数(配当込み)、世界国債はFTSE世界国債指数、金はNY金先物、いずれも米ドルベースを日興アセットマネジメントが円換算。各指数の著作権等の知的財産権その他一切の権利は、各指数の算出元または公表元に帰属します。
  • 上記は過去のものおよびシミュレーションであり、将来を約束するものではありません。