市場予想通り、3会合連続で金利を据え置き
日本銀行(日銀)は6月16・17日に開催した金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物金利の誘導目標)を0.5%程度で据え置くことを決定しました。また、国債買入れの減額を継続するものの、四半期毎の減額幅を現在の4,000億円から2026年4月以降は2,000億円に緩めることを決めました。
両決定は概ね市場の想定通りでしたが、別途、発表された7-9月期の国債買入れオペ(公開市場操作)の予定額が、超長期債では維持された一方、中長期債では減額されたため、後者の需給が緩むとの見方などから、長期金利は上昇しました。
市場に配慮し、国債買入れの減額ペースを緩和
日銀は、2013年からの異次元緩和において、金利を抑えるべく国債を大量に購入しました。その国債保有残高は、2024年末時点で約560兆円と、国債発行残高の52%に及びます。2024年3月に異次元緩和を終えた日銀は、市場機能の改善に向け、同年8月以降、月間の国債の買入れ額を減らす、事実上のQT(量的引き締め)を段階的に行なっています。なお、国債の買入れ額は、日銀が既に保有する国債が満期到来に伴ない償還される額を下回るため、日銀の国債保有残高は緩やかに減る傾向にあります。
今年5月、日本の財政悪化への懸念などを背景に国債利回りの上昇が顕著となった際、超長期債の利回りが過去最高水準となりました。この背景として、超長期債の買い手が生命保険会社などの長期運用主体に限られていることのほか、米関税政策の不確実性の高まりなどを背景に、投資家がリスク抑制に向けて償還期限の短い国債を選好したことなどが挙げられています。
こうした中、日銀は今回、市場の安定に配慮し、国債買入れの減額ペースを緩和することを決定しました。なお、今回の決定について、2026年6月の会合で中間評価を行ない、2027年4月以降の方針を検討するとしています。
年内の利上げの可能性は6割を切る
なお、金融市場が織り込む、年内の追加利上げの可能性は6割弱となっています。ただし、極めて高い不確実性の下、状況次第でタイミングが大きく前後する可能性があることには注意が必要です。
![【図表】[左図]金利と円相場の推移、[中央図]物価上昇率(前年比)の推移、[右図]年限別の国債利回りの推移](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-2106_01.jpg)
- 日銀や総務省などの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
![【図表】[上図]年内の金融政策決定会合の予定(下段:主な意見の公表日)、[右図]25年4月の展望レポートの見通し(中央値)](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-2106_02.jpg)
- 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。