5会合連続で政策金利を据え置き
米FRB(連邦準備制度理事会)は、7月29・30日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場予想通り、政策金利(FFレートの誘導目標)を4.25~4.50%で据え置くことを決定しました。声明では、従来、堅調としてきた経済活動について、この上半期は「伸びが緩やかになった」として、評価を下方修正したほか、経済見通しに関する不確実性については、前回あった「やや和らいだ」との表現を削除し、「依然として高水準」との認識を示しました。なお、トランプ大統領が第1次政権でFRB理事に指名した2名は利下げを求め、政策金利の据え置きに反対しました。

30日の米金融市場では、FOMCの声明で景気判断が引き下げられたことを受け、利下げ観測が一時、強まりました。しかし、その後、パウエルFRB議長が会見で、次回9月の会合での利下げについて、何も決まっていないと述べたことなどから、早期の利下げ観測が後退し、主要株価指数がマチマチで引けたほか、長期金利は上昇しました。また、米ドルが対主要通貨で上昇し、円相場は1米ドル=149円台に下落しました。

9月の会合までに、雇用・物価統計の発表が2回
パウエル議長は会見で、経済が堅調で、インフレ率が目標をやや上回る水準で推移する状況下、控えめに制約的と考えられる現在の金融政策は適切と評価しました。

また、米関税政策の影響については、まだ初期の段階にあり、一部のモノの価格については押し上げ圧力がかかっているものの、より広範な影響については不透明で、評価には長い道のりが必要だとして、前回6月の会合以降、不確実性は後退していないとの見方を示しました。ただし、次回9月の会合までには、7月および8月の雇用統計、消費者物価指数の発表が予定されており、これらが政策判断に大きく影響する可能性も考えられます。

金融市場では利下げ観測が後退
米金融市場では、年末までに0.25ポイントの利下げが2回という見方が優勢でしたが、今回の会合を受け、9月の会合での利下げ観測が大きく後退したほか、年内2回の利下げとの見方も後退することとなりました。

【図表】[左図]米国の消費者物価上昇率(前年同月比)と金利の推移、[右図]米労働市場の主要指標の推移(2019年1月~2025年6月)
【図表】[上図]来年前半までのFOMC開催予定(下段:議事要旨の公表日)、[下図]25年6月のFOMC参加者の見通し(中央値)
  • 米労働統計局、全米経済研究所(NBER)、FRBなどの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。