7月の世界株式は、米中関係の改善や米国と貿易相手国・地域との通商協議の進展への期待などを背景に、月初には上昇基調となりました。しかし、トランプ米大統領が日本を含む複数の貿易相手国に対し、新たな関税率を課すと発表したことで市場には警戒感が拡がり、株価の上げ幅が縮まりました。その後、中旬にかけては、米関税政策に対する警戒感と、通商協議の進展期待が入り混じり、各国・地域の株価はマチマチの展開となりました。下旬には、日米通商協議の合意が発表され、日本の主要株価指数が急上昇した一方で、米国とEU(欧州連合)間での合意は米国に有利な合意内容だったとの声もあり、欧州株式はこれまでの上昇幅を縮めました。なお、7月下旬から月末にかけてTOPIX(東証株価指数)のほか、大手ハイテク企業の好決算などを背景に、米国のナスダック総合およびS&P500種が、好調な企業業績などを追い風に英国のFTSE100指数が最高値を更新しました。

8月1日以降も通商交渉は続く見通し
トランプ大統領は、各貿易相手国・地域に対し、新しい関税率を8月1日に適用しました。ただし、未だ、関税率について合意に至っていない国・地域は多く、トランプ大統領が1日以降の関税の猶予期限の延期は認めないとしている一方、ベッセント米財務長官は早期に合意を成立させるよりも質の高い合意を重視する、との姿勢を示しており、同日以降も通商交渉が続くとみられます。また、日米間では、7月中に関税率の合意がなされたものの、米自動車業界からは自動車関連の関税について反発の声も上がっており、米関税政策を巡って動向を注視する展開が続くとみられます。

ジャクソンホール会議でのFRB議長の発言に注目
米カンザスシティ連邦準備銀行が主催する経済シンポジウム、通称ジャクソンホール会議は、ワイオミング州ジャクソンホールで毎年8月に開催されます。各国・地域の中央銀行総裁や財務大臣、経済学者などが経済、金融政策について議論する場であり、中央銀行総裁など金融当局者が講演を行ない、今後の金融政策の方向性について示唆することもあるので、投資家も注目する重要なイベントです。特に、日本やEUとの通商合意などを受け、米関税政策の影響をパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長がどのように評価するのか、など同会議での発言に高い関心が寄せられています。

引き続き注目を集める日米企業の決算発表
7月下旬から日米企業の4-6月期決算発表が本格化しています。日本では、株価は堅調に推移しましたが、米関税政策が各企業にどの程度の影響を与えるのか、当期実績および今後の業績見通しにも注目が集まります。また、米国では、7月中に大手ハイテク企業7社(マグニフィセント・セブン)のうち、一部の企業が決算発表を行ない、好・不調入り混じる内容となりましたが、AI関連投資への期待感などから月末にかけてハイテク銘柄が堅調に推移しました。8月にも半導体製造装置大手や半導体大手などの決算が控えており、これらの決算内容次第では、株式市場全体に与える影響が大きいとみられ、引き続き市場の注目を集めています。

【図表】8月の注目される金融政策および政治・経済イベント
  • 信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメントが作成。スケジュールは予告なしに変更される可能性があります。
  • 上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。