市場予想通り、4会合連続で金利を据え置き
日本銀行(日銀)は7月30・31日に開催した金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物金利の誘導目標)を0.5%程度で据え置くことを決定しました。また、31日に公表した展望レポートでは、25年度の実質GDP見通しおよび25~27年度の物価見通しを上方修正しました。

31日の市場では、利上げ環境が整ってきたことが展望レポートで示唆されたとの見方などから、新発10年物国債利回りが一時、上昇したものの、徐々に国債が買い戻され、引けでは利回りは低下しました。株式市場では、前日の米ハイテク株高を受け、半導体関連株が買われたほか、日銀が緩やかに利上げに向かうとの思惑などから銀行株の一角が買われたこともあり、相場が上昇しました。また、為替は、植田日銀総裁が会見で利上げを急がない姿勢を示したことを受けて円安に振れ、ニューヨーク市場では円相場が1米ドル=150円台に下落し、一時、150円84銭前後と、3月下旬以来の円安・米ドル高水準となりました。

米関税政策の影響を引き続き慎重に見極め
植田総裁は会見で、日米通商協議が合意に至ったことは大きな前進であり、経済・物価見通し実現の確度が少し高まったとの見解を示しました。また、現在の実質金利は極めて低い水準にあるとして、同見通しが実現していくとすれば、政策金利を引き上げるとの姿勢を再確認しました。ただし、米関税政策を巡る不確実性は依然として高いと強調し、影響を引き続き慎重に見極めていく意向を示しました。そして、今後の判断材料として、同政策の経済や市場への影響に加え、企業の積極的な賃金・価格設定行動が途切れることがないかという点を挙げました。

なお、展望レポートでの物価見通しの上方修正については、コメなどの食料品の価格高騰を反映したものであり、影響は一時的との見方を示しました。また、物価見通しの上方修正だけで金融政策が左右されるものではないと述べました。

年内の利上げの可能性は低下も、6割を上回る
金融市場が織り込む、年内の追加利上げの可能性は、今回の会合前で7割を超えていましたが、植田総裁の会見内容などを受け、足元では6割強と、やや低下しました。

【図表】[上図]来年前半までの金融政策決定会合の予定、[下図]25年7月の展望レポートの見通し(中央値)
【図表】[左図]金利と円相場の推移、[中央図]物価上昇率(前年比)の推移、[右図]賃金(前年比)と消費の推移
  • 日銀や総務省などの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
  • 上記は過去のものおよび見通しであり、将来を約束するものではありません。