米国では2025年4-6月期の企業決算の発表が続いており、8月8日時点(米国市場開場前、以下同じ)で主力企業(S&P500指数の構成企業)の90%が発表を終えました。そこで本稿では、米主力企業の4-6月期決算の状況や今後の業績に関する市場予想などをご紹介します。
4-6月期決算は市場予想以上の良好な内容
8月8日時点で発表済の4-6月期決算において、純利益の実績が市場予想を上回った割合は80%、一致した割合は4%、下回った割合は15%となりました(グラフ【A】)。また、主力企業全体の純利益の伸び率(未発表企業は市場予想に基づく、以下同じ)は前年同期比で13.2%と、今年1-3月期の13.7%からは僅かに鈍化したものの、二桁の伸びを維持しました。決算発表シーズン前の7月1日時点では、米関税政策の影響などへの懸念から、5.8%まで落ち込むと予想されていましたが、実際には予想以上に良好な決算内容となりました。
業種別にみると(グラフ【B】)、4-6月期の純利益の伸び率は、原油価格の低迷の影響を受けたエネルギー(前年同期比▲13.5%)を含む3業種でマイナスとなりました。その一方で、コミュニケーション・サービス(49.0%)や、情報技術(22.8%)、金融(13.9%)など8業種でプラスとなりました。建機大手や自動車メーカーなどの決算発表では、米関税政策によるコスト負担の増加を訴える例がみられたものの、AI(人工知能)関連の堅調な需要や富裕層の消費拡大などの恩恵を受ける業種を中心に、好決算が相次ぎました。
企業利益の伸びは、一時的な鈍化を経て回復へ
今後の業績に関する市場予想に目を向けると、主力企業全体の純利益の伸びは、米国の景気減速や関税コストの負担増加といった逆風を受けて、10-12月期にかけて7.1%まで鈍化すると見込まれています(グラフ【C】)。
もっとも、2026年については、①AI関連需要の好調継続、②減税・歳出法(2025年7月成立)による景気押し上げ効果の本格化、③米関税政策の影響の一巡、などを背景に、二桁成長へ回帰すると予想されています。
米関税政策を受けた企業業績の下振れや、米トランプ政権の突発的な政策発動といったリスクには引き続き留意が必要ですが、直近4-6月期の決算を経て、企業業績の底堅さと、2026年にかけての回復シナリオが確認できた点は、株式相場を展望する上での安心材料になると思われます。

![(図表)[左図]【B】直近決算期の業種別純利益の伸び(2025年4-6月期)、[右図]【C】全体の純利益の伸びの推移と市場予想(2024年1-3月期~2026年10-12月期、四半期)](/files/market/rakuyomi/images/rakuyomi_vol-2120_02.jpg)
- LSEG I/B/E/Sのデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
- 上記は過去のもの及び予想であり、将来を約束するものではありません。