日本株式は、株価指標からみて割安感が強いと判断されることや、日本企業が自社株買いを積極化していることなどから、足元で下値不安は少ないものの、米中摩擦や世界景気の減速懸念などから、上値も抑えられる状況となっています。このような局面では、個別の成長要因がある企業を選別することが重要と考えられることから、「ジパング」では、足元で主に3つの投資カテゴリーに注目し、好業績が見込まれる銘柄に選別投資を行なっています。今回は、この投資カテゴリーについて、2019年5月末時点の組入上位銘柄とともに、ご説明したいと思います。

①課題解決型企業

 日本は、人口減少に伴なう多くの構造問題を抱えています。このような社会的な課題の解決に寄与する企業は、景気変動に大きく左右されずに、中期的な成長が可能であると考えています。組入上位銘柄(2019年5月末時点、以下同様)の中では、人手不足や高齢化に対するソリューションを提供する企業として、福利厚生代行の「リログループ」、中小企業のIT化をサポートする「大塚商会」、医療事務の代行と介護施設の運営を行なう「ソラスト」を保有しています。また、最近注目されている空き家問題の解決を目指す企業として、「カチタス」を保有しています。住宅全体に占める空き家比率の上昇は、防犯、防災、衛生などの観点から、大きな問題となっています。同社は、空き家を買い取って、リフォームしてから、中古住宅として販売するというビジネスを展開しています。私は現場のリサーチを重視していますので、実際に物件を見てきましたが、築30年以上の物件が、リフォーム後には新築とほぼ変わらないような状態になっていることに、本当に驚きました。日本は、課題先進国といわれるほど、様々な課題を抱えているだけに、課題解決型企業のカテゴリーで注目できる銘柄は、今後も増えてくると考えています。

<ジパングの株式組入上位10銘柄>
  • 上記銘柄について、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。
    また、当ファンドにおける将来の銘柄の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。

②グローバルシェア拡大企業

 国内市場の成熟化が進む中、医療機器や産業機械などの成長分野でグローバルにシェアを拡大している企業については、「ジパング」のコア銘柄として長期間保有している銘柄が多くあります。組入上位銘柄では、空調機器の「ダイキン工業」、医療機器の「朝日インテック」、メガネレンズや半導体関連材料の「HOYA」などがこれに該当します。中でも、カテーテル手術の際に、医療機器を血管から患部まで運ぶためのガイドワイヤーのメーカーである、「朝日インテック」は、高い技術力を背景に急速にシェアを拡大している企業として注目しています。同社は、1976年の創業ですが、当初は機械などに使うステンレスロープという製品を作る小さな町工場だったそうです。それが、技術力を生かして医療機器分野に進出したことで、この分野では世界的に有名な企業へと成長したということで、まさにドラマ「下町ロケット」に出てくるような会社です。同社のように、高い技術力に加えて、積極的に海外の販路開拓を進められる経営力を持つ企業に注目しています。

③モビリティ革命関連企業

 自動車業界は、電動化と自動化の進展に加えて、ライドシェアのようなサービス化が進むなど、これまでにない大きな変化の局面を迎えています。特に、環境に対する意識が大きく変わってきたことで、欧州や中国で排ガス規制強化が強まっており、これに対応するための電動化の需要が足元で加速しています。この変化に対応できる企業は大きな成長が期待できますが、既存の完成車メーカーや自動車部品メーカーは、ガソリンエンジン車の市場が縮小することによるデメリットを受ける企業もあるため、慎重な選別が必要と考えています。 「ジパング」では、このカテゴリーに該当する銘柄として「日本電産」「ソフトバンクグループ」「ソニー」を組入上位銘柄として保有しています。例えば、「日本電産」のような電子部品関連の企業は、電動化によって新たに生まれる需要を取り込めるため、比較的早いタイミングで業績に寄与することが期待できると考えています。同社は、電気自動車の心臓部にあたるモーターと、その周辺の制御機器の開発で先行しており、規制強化が進む中国や欧州の完成車メーカーに供給することで、高い成長が続く見通しです。この他、電動化で使用量が拡大するセラミックコンデンサーの関連企業や、電動化で重要な放熱関連の部材を供給する化学メーカーなどにも注目しています。

 以上のように、世界経済の減速懸念が残る中でも、長期的な成長が期待できる複数のカテゴリーから銘柄を選別することで、好業績を維持できる銘柄で構成されたポートフォリオを構築したいと考えています。

  • 上記銘柄について、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。
    また、当ファンドにおける将来の銘柄の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。